#132 ベンチャー投資における情報非対称性の希少性とその価値
サンフランシスコ・ベイ・エリアはロスやニューヨークに比べると小さな都市ではありますが、ここに住む大きなメリットの一つは豊かな自然です。先週末は家から15分距離の小さな山に登ったのですが、30−40分くらいのさくっとと行ける距離のハイキングができて、かつ市内が見渡せるとても良いビューの山で良い気分転換になりました。色々なハイキングには行ってるつもりですが、まだまだ良いのが出てきそうです！
Mt. Davidsonから見えるサンフランシスコ市内
投資において最も大事なのは情報の非対称性と言っても過言ではないでしょう。 重要な情報を他人より先に入手したり、誰も知らない情報にアクセスできれば、魅力的な投資機会を作り出すことができます。インサイダー取引の誕生背景も、このような情報の非対称性を不公正な方法で利用することを防止するためです。
ヒンデンブルグ・リサーチは、このような情報の非対称性を積極的に探すヘッジファンドです。ターゲットとなる企業の不正行為や虚偽の情報を見つけるために徹底的な調査を行い、その企業を空売りします。その後、リサーチ結果を発表し、対象企業の株価が下落することで利益を獲得します。
ヒンデンベルグがニコラレポートを発行した時のフォーチュンの記事
ベンチャー投資も同じです。 情報の非対称性は、特に初期投資のベンチャー投資のコアな要素です。
VCからすると、成功する会社が作れる可能性の高い創業者を直接知ること、あるいはそのような創業者を紹介できる人を知ることが重要です。このような人を知ること自体が情報の非対称性であり、ベンチャーキャピタルは関係中心のビジネスと言われる理由の一つです。
しかし、最近ではVC投資においても、情報の非対称性を見つけることはますます難しくなってきています。これは、特定の資産クラスが成長する際に避けられないステップです。株式市場で情報の非対称性を見つけるのは非常に難しいです。誰かを「知っている」だけでは十分ではありません。時間をかけた徹底的な調査を通じて情報の非対称性を見つけ出すヒンデンブルグ・リサーチのような投資会社が誕生した理由もこのような背景から理解できます。
今、VCは相当な努力を払わない限り、他のVCは知らない情報を見つけることは難しくなりつつあります。 つまり、情報の価値はますます高くなってきており、その価値は上昇し続けるでしょう。その副産物の一つは、昨夏のこの記事でも話したような、関係性の消耗品化です（#88 ベンチャー業界でコモディティ化する「関係性」）。ただ「仲良い」という理由だけで貴重な情報を共有するには、情報の価値が高くなりつつあります。
したがって、VCは固有の情報の非対称性を見つけ出し、それを持続可能な競争力に育てていくことが重要です。 それは可能性が高い創業者を探す特定の方法であったり、またはどの技術が大きな可能性を持っているかを知るための技術知識であるかもしれません。
さらに重要なことは、一度このような情報の非対称性を確保したら、それをうまく活用することが重要です。投資家としてどうすれば情報の非対称性の価値を最大化できるかを戦略的に考えることは、キャピタリスト個人だけでなく、VCファーム自体のコア競争力のために必要です。
私自身もこの旅を歩んでいます。私も私なりの情報非対称性を持っており、それをさらに発展させながら、VC市場での競争力を維持し、世界最高レベルのファンドに成長できるように努力しています。
References:・New report claims widespread deception by Nikola Motor and founder Trevor Milton - https://fortune.com/2020/09/10/nikola-motor-stock-hindenburg-research-allegations/
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