#225 有名VC出身スピンオフファンドの落とし穴
私は北カリフォルニアの気候がとても好きです。あまり暑すぎる天気が苦手なのですが、特にサンフランシスコはいつもほどよく涼しくて過ごしやすいので気に入っています(LAは少し暑すぎます)。また、秋の高くて青い空が好きなのですが、ここの空は常にそんな秋空に似ています。人々がカリフォルニアに住む理由としてよく「気候」を挙げる気持ちが、とてもその気持ちがわかります。今日もこうした気候の中で暮らせることに感謝しつつ、もっと頑張ろうという気持ちになります。

サンフランシスコの名物Sutro Tower
セコイアやアンドリーセン・ホロウィッツなど、名高いベンチャーキャピタル(VC)から新たなファンドがスピンオフすると、多くの人々から注目されるのは当然のことです。有名なファンドのブランド価値が、新しいファンドに対する信頼感を即座に高めてくれるからです。しかし、このような後光効果の背後には、思ったよりもずっと複雑でリスクの高い現実が存在しています。
最近では、有名なVC出身者が独立し、自らのファンドを立ち上げるケースが増えてきています。優れた投資家が独立を通じて、より大きな成功を追求することは自然な流れです。ただ、有名VCに在籍していたという理由だけで、その人たちの成功を安易に確信するのは間違いかもしれません。
このようなファンドを評価する際には、必ず2つのリスクを考慮する必要があります。一つ目は、スピンオフして新たなファンドを設立することは、単に独立した投資家になるという以上のチャレンジだという点です。ゼロから会社を立ち上げるという点で、これはまさに起業に近い作業であり、会社運営に関する複雑で幅広い経験が必要になります。したがって、スタートアップや他のファンドを設立した経験のない人にとっては、この過程で大きな困難に直面する可能性があります。運営、資金調達、ブランド構築、チーム管理などは、大手ファンドで投資業務だけを担当してきた経験とは根本的に異なる能力を求められるからです。
二つ目は、その投資家が前のVCで実際にどのような役割を果たしたかを正確に把握するのが簡単ではないという点です。華やかな経歴や有名な投資実績があったとしても、その成果が本人の能力によるものなのか、それともVCのブランドやネットワークのおかげなのかを見極めることは容易ではありません。その投資家が案件を自ら発掘しリードしたのか、それとも単にチームの一員としてサポート役に過ぎなかったのかを区別するのは難しいのです。
最近、私たちがあるスピンオフファンドを評価した際にも、この問題を実際に経験しました。そのファンドのパートナーが以前所属していたVCから投資を受けたあるスタートアップの創業者に話を聞きました。私たちが該当VCのメイン投資担当者は誰であったかを尋ねたところ、残念ながらそのパートナーの名前は出てこなかったのです。
有名なVCは幅広いネットワークと強力なブランド力があるため、個人の実際の貢献度が隠れてしまうことがあります。特に在籍期間が短い投資家の場合、その成果が本人の能力によるものか、組織の力によるものかを明確に区別することはさらに難しくなります。
もちろん、こうしたファンドに潜在力がないという意味では決してありません。成功例も多くあり、私たち自身もそのようなファンドにいくつも投資をしています。しかし重要なのは、単に以前所属していたVCの名声に依存せず、より厳密に評価する必要があるという点です。難しい質問を投げかけ、表面的な情報を超えて実際の実力を確認しなければなりません。VCとしての真の優秀さは、単に有名ファンド出身という経歴だけで決まるのではなく、投資家個人の実際の能力と実績によって証明されるべきだからです。
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