#218 パートタイムGPが運営するVCファンドの成功条件

重要なのは「パートタイムGPモデルが可能か」ではなく、「どのような条件下で可能か」である。
46(Youngrok) 2025.03.17
誰でも

先週、久しぶりに家の近所にあるSouthern Pacific Breweryに行ってきました。ここはElon MuskのAI会社であるxAIの本社のすぐ隣にあるところです。以前はOpenAIも同じ場所を本社として使っていたことで知られています。正直、ビールの味が特別優れているわけではありませんが、雰囲気は間違いなくトップクラスで気持ちよくビールが飲めます。サマータイムも始まり、気温が少しずつ上がり、日も長くなってきました。これからは、ハッピーアワーで立ち寄る機会がさらに増えそうです!

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ベンチャーキャピタルという仕事は本質的に全力投球が求められます。GPは単なる投資家ではなく、ネットワークを継続的に構築・維持し、出資先の起業家を支援しながら彼らのスタートアップを成長させる役割を担います。そのため、スタートアップを経営しながら同時にファンドを運営する「パートタイムGP」モデルには、懐疑的な見方がつきまといます。しかし、特定の条件が整えば、このモデルが例外的に成功するケースもあります。

代表的な例が Todd & Rahul Angel Fund です。このファンドはTodd Goldberg氏とRahul Vohra氏が共同GPとして運営 しており、Vohra氏は現在も私も有料会員として使っている人気メールアプリのSuperhumanの創業者兼CEOとして会社を率いています。一方、Goldberg 氏は連続起業家として成功した後、ファンドのフルタイムの投資家として活動し、ファンドの運営も担当しています。この構造が機能する理由は、Goldberg氏が投資およびファンド運営を担いながら、Vohra 氏が起業家としての知見と優れたディールソーシング能力を提供しているためです(弊社は当ファンドには私たちは投資していません)。

ただし、Todd & Rahulのようなケースはあくまで 例外 です。他人のお金を運用するVCファンドを「副業」として運営するのは決して容易なことではありません。このモデルを成功させるには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。

1. 「独占性」が重要

シリコンバレーでは、創業者がエンジェル投資家や他のVCのスカウト(Scout)として活動することは珍しくありません。しかし、パートタイムGPとしてファンドの責任を持つのであれば、最も有望なディールを優先的に自らのファンドに提供する必要があります。つまり、パートタイムGPは単に複数の投資活動を並行して行うのではなく、特定のファンドに専念することが求められるということです。そうでなければ、優れたディールは他の投資家に取られ、結果的に質の低い案件しか残らない可能性も生じます。

2. 「十分な時間と金銭的コミットメント」が必要

パートタイムGPは、単に時折パートナーミーティングに出席するだけでは不十分であり、実際に意味のある時間を投資業務に割く必要があります。本業としてスタートアップを経営している場合、投資業務にどれだけの時間を割けるのかを冷静に評価しなければなりません。加えて、この点について経営陣や取締役会の理解を得ることも重要です。

さらに、時間の投資だけでなく、GPとして十分な自己資金を出資(GPコミットメント)することも重要です。これはLPとのインセンティブを一致させると同時に、ファンド運営に対する責任感を強化する役割を果たします。

3. 「フルタイムパートナーの実力」が重要

時々、フールタイムのGPはそこまで優秀ではないものの、非常に優秀なパートタイムGPの知名度に頼って運営されるファンドを見かけます。しかし、その場合、フルタイムのGPが十分な経験と能力を持っていなければ、ファンドの運営が非効率になる可能性 があります。成功するファンドは、すべてのGPが同等レベルの専門性と実力を持っていることが理想的です。そうでなければ、内部のバランスが崩れ、長期的にはファンドのパフォーマンスにも悪影響を及ぼすでしょう。

私はこれまで、このような構造のファンドに投資したことはありません。しかし、今後も投資しないと断言するつもりもありません。ただし、このモデルには明確なリスクが存在し、適切に運営された場合にのみ、その強みを発揮できることは間違いありません。

ベンチャーキャピタルの市場環境が変化するにつれて、ファンドの運営モデルも進化し続けるでしょう。重要なのは「パートタイムGPモデルが可能かどうか」ではなく、「どのような条件下で可能なのか」 という点なのです。

References:

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