#223 投資におけるレファレンスチェックは「一貫性」を確認するプロセス

話が食い違う時は注意を払い、一貫した声の中に確信を得る
46(Youngrok) 2025.04.21
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先週、休暇を兼ねた出張で妻の実家である日本に家族全員で来ました。ここ数ヶ月、娘が毎晩トトロの絵本を読まないと眠れないほど気に入っていて、同じ本を何十回も繰り返し読んでいました。そこで今回は愛知にあるジブリパークを訪れてみたのです。娘が大好きなネコバスも見て楽しい時間を過ごしましたが、正直なところ、うちの娘(2.5歳)のような小さな子ども向けというよりも、小学校高学年以上のジブリファン向けの場所だと感じました。10年ほど経って娘がもう少し大きくなった頃にも、まだトトロやジブリ作品が好きでいてくれたら、その時にまたぜひ訪れてみたいと思います!

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VCファンドへの出資を検討する際、一部のLPはレファレンスチェックを形式的な手続きとみなしていることがあります。中には、きちんとしたレファレンスチェックをまったくせず、1~2名と軽く話をするだけで終わらせてしまう場合もあります。

しかし、私はレファレンスチェックを単なる形式ではなく、投資における重要な評価プロセスの一つだと考えています。そのため、ファンドを検討する際には必ず5〜10回ほどレファレンスチェックを実施しています。私がレファレンスを重要視する理由は、相手の隠れた欠点や問題点を探るためではありません。実際のところ、そのような話を聞くことはほとんどありません。私が見ようとするポイントの一つは、より微妙で重要な要素である「一貫性」です。

レファレンスチェックでドラマチックな裏話が出てくることは期待していません。ベンチャー業界は狭いコミュニティであるため、誰も他人の悪口を言いたがらないからです。自然と良い話ばかりが出てくることになります。そのため、私たちが特に注目するのはGPが自分自身をどう表現しているか、そして実際に一緒に働いた人たちの評価がその表現とどれほど一致しているかです。

例えばGPが自身をマーケティングの専門家だと強調していた場合、一緒に仕事をした経験がある創業者の方々が自然と同じようなメッセージを語ってくれるかどうかを確認します。「GPの最大の強みは何でしょうか?」という質問をした際に、マーケティングに関連した回答が一貫して出てくるかを見るのです。

こうした一貫性は、信頼を築くための重要な基盤となります。逆に話が食い違っていると、信頼が揺らぎ始めます。一部の創業者の方が「GPはマーケティング戦略の立案に非常に役立った」と言う一方で、別の創業者たちはマーケティングについて全く言及しなければ、GPの真の強みが何なのか混乱を生じてしまいます。一貫性とは決められた台本ではなく、実際の経験から出てくる真の評価です。100%完璧な一貫性を求めるのは難しいですが、類似した傾向を見つけるための努力をしています。

そのため、私たちはレファレンスチェックを通じて悪口や雑談を探そうとしているわけではありません。これは相手を監視したり調査したりするものではなく、互いの話が一致しているかを確認するプロセスなのです。話が食い違う時は注意を払い、一貫した声の中に確信を得ます。

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