#103 ベンチャー・キャピタルのPMF(プロダクトマーケットフィット)

想像以上に色々な影響を及ぼすVCのPMF
46(Youngrok) 2022.12.26
誰でも

先週は韓国に行ってきました。韓国にいくのはとても久しぶりだったのですが、今回は仕事ではなくプライベートでの訪問だったので、少しはゆっくりする予定でした。ただ、残念ながら結局仕事が忙しくなり、そのような余裕はありませんでしたが、短い間でしたが、韓国らしき食べ物を食べたり、生まれたばかりの娘に韓国を見せたりできたのは良かったなと思います!

ナク・コプ・セ(タコ・ホルモン・海老)という食事

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VCファンドにとってもPMF(プロダクトマーケットフィット)を見つけることは非常に重要です。VCは営利を追求する会社で、LP(VCファンドに出資する投資家)はVCのカスタマーであり、スタートアップへの投資はVCが提供するプロダクトなのです。VCがLPにとって魅力的なプロダクトを提供すれば、LPはVCに投資することになります。

成功している会社の多くは、カスタマーが求めるものに対して最適なプロダクトを提供します。アマゾンのリーダーシップの原則第一は『顧客への執着』です。VCも例外ではないのです。

仮にVCが斬新な投資手法を思いついたとしても、それがカスタマー、つまりLPの求めるものでなければ、LPはお金を出してはくれません。多くのVCは、多くのスタートアップと密接に関わり、PMFを見つける手助けをする者として、この法則を知っています。

これは、LPが何を望んでいるかが、VC市場の成り行きを左右することを意味します。国ごとに異なるタイプのLPが存在し、彼らはVCがどのようなプロダクトを提供するかに影響を与えます。

日本市場を例にとって考えてみましょう。日本では、LPの多くは大企業さんで、その多くは戦略的リターンを求めてVC投資を行います。つまり、彼らの関心は、新規事業の立ち上げ、新技術の習得、あるいはスタートアップ投資による潜在的な脅威の早期発見にあるのです。これらの目標が達成できれば、VCの儲けが少なくても概ね問題ないとしています。それでもVCはリターンを最大化しようとしますが、たとえリターンが著しく高かったとしても、LPが求めるもの、つまり戦略的リターンを提供しなければならないのです。

次に、韓国市場を見てみましょう。そこでは、民間からVCに流れるお金のほとんどが、忍耐強くありません。つまり、LPはVCファンドの一般的な期間である10年を待たずに、早く資金を返して欲しいのです。そのため、韓国ではVCファンドのライフサイクルは8年と短いのです。他の市場よりも早くセカンダリーマーケットでスタートアップの株式を売却したりして、LPにキャッシュを還元します。これは、東南アジアのファンドの多くも同じです。

これは米国市場とは大きく異なる風景です。米国のLPはVCをハイリスク・ハイリターンの投資商品と考えることが多く、キャピタルリターンを最大化することに関心があります。従って、米国の多くのVCは時間がかかってもキャピタルリターンを最大化できるプロダクトを提供しようとします。トップクラスのVCであるニューヨークのUnion Square Venturesは、18年前に立ち上げた$125M(約170億円)の1号ファンドを最近完全に清算しました。そのリターンは15倍。信じられないような成果です。

LPが何を望んでいるかを理解することは、VCがLPから資金を調達する上で非常に重要です。また、これは各市場におけるベンチャーキャピタル市場のあり方に大きな影響を与えます。あるベンチャー市場全体を変えたいのであれば、どのようなスタートアップがいるかだけではなく、どのようなLPがエコシステムの中にいるかということを理解する必要があるのです。

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