#148 国内VCが海外投資家から資金調達をするためには

海外LPから資金調達をするためには
46(Youngrok) 2023.11.06
誰でも

小学生のとき、みんながテコンドーをやっていた頃、私は剣道をやっていました。 その後、大学生になってからも少しやっていましたが、就職してしばらくやめていました。今年サンフランシスコにも剣道ができるところがあるというのを知って、半年前くらいから再び剣道を始めました。意外とアメリカに剣道人口がいるのです。先週末は北カリフォルニアのチャンピオンシップの試合があり、サンフランシスコ道場のお手伝いで行ってきましたが、早く感覚を取り戻し(ほぼ20年ぶりの再開なので)、近いうちにはまた大会にも参加してみたいです!

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ベンチャーキャピタル投資に関しては、市場規模と収益率の面では、アメリカが断トツのトップです。通常、米国と中国がトップ2でしたが、中国の投資環境が変わり、今はほとんど米国だけが残っています。

例えば、ベンチャー投資の規模を見ると、日本の市場より50倍ほど大きいです。50倍以上のお金がベンチャー投資に流入しているのです。また、ユニコーンも日本より100倍も多いです。これは、エグジット環境、つまりベンチャーキャピタルの投資金を回収できる環境が優れていることを意味します。一言で言えば、現在、そしておそらく今後しばらくは、ベンチャー投資に関してはアメリカが最も魅力的な市場であると言えます。

ベンチャー投資はこれまで非常にローカルなビジネスとされてきましたが、近年、米国市場を超えてグローバル市場に関心を持つ米国の投資家が増えています。一部の大手ベンチャーキャピタルは、ヨーロッパにオフィスをオープンしたり、オフィスをオープンしなくても人を派遣してその市場を理解しようと努力しています。例えば、セコイアは中南米で多くのイベントを開催していましたし、フィンテック最高峰のVCであるリビットキャピタルはアジアに人員を置いていました(私の知人がその役割を果たしていました)。

このようなことが起こるのにはいくつかの理由があります。第一に、VCの規模が大きくなり、ソーシングの機会を拡大する必要が生じたからです。彼らは米国内でももちろんディールソーシングチャネルを拡大していますが、一方で他の国にもチャネルを拡大しているのです。もう一つの理由は、米国でのベンチャー投資の競争が激化したことです。すなわちスタートアップの企業価値が非常に高くなりました(もちろん今はかなり下がっています)。一方、中南米やアフリカの国々、また日本や韓国のようなベンチャー投資における新興国の場合、スタートアップはまだ魅力的なバリュエーションを維持している場合があります。最後に、少しずつ成功事例が出てきているという点も考えられます。ブラジルのヌーバンクと韓国のクーパンは良い例です。ヌーバンクとクパンの時価総額はIPO後に下落しましたが、現在それぞれ400億ドル(約6兆円)と300億ドル(約4.5兆円)を維持しています。

日本と韓国のVCから「海外のLPからどのようにすればファンドレイジングができるのか」という質問をよく受けます。まず、多くはないでしょうが、米国にすでに十分な投資を行ったので、他のロケーションでも投資をしてみたいというLPを見つけることはできるでしょう。この場合、日本が中南米やヨーロッパなど他のエマージングマーケットよりも良い市場であることを強調しなければなりません。グッドニュースは、ピッチブックの最近のレポートによると、中国を除けば、サンフランシスコのような米国の都市とロンドンに次いで、ソウルと東京が最も魅力的な都市として挙げられています。ただ、繰り返しになりますが、このケースはあまり多くないと思います。

もう一つのアプローチは、韓国や日本のVCが米国と同じくらい魅力的なリターンを出すことができることを示すことです。 例えば、韓国のファンドは米国よりもファンド期間が短いです(多くの場合10年もありません)。韓国の場合、LP資本の相当部分が忍耐力を持った資金ではないため、VCファンドはより大きな倍数を創出できる機会を諦めて、セカンダリー市場などで持分を売却し早期に資本を回収しなければなりません。しかし、これは時間価値を反映したIRRでは大きな差が出ない可能性があることを意味します(もちろん、これについてはもう少し研究が必要です)。そのため、他のKPIなどを用いてこの点を強調すれば説得力があるかもしれません。

日本の場合はスタートアップが早く上場しすぎて、VC投資のマルチプルが低くなることが課題です。米国のシリーズAバリュエーションと似た50億円のバリュエーションでも上場をすることがあります。しかし、韓国と同様に時間価値を反映するIRRを重視するLPにアピールすることはできるかもしれません。もう一つのアイディアは、出資先の可能性を最大化するために非上場市場と上場市場の両方で投資を行うクロスオーバーファンドを提供することです。 例えば、シードに投資し、上場市場でユニコーンになるまでホールドする方法です(ただし、これは資産クラスがごっちゃ混ぜになるため、別の課題が出てきます)。

結論として、現在ベンチャー投資のトップ市場の米国や、他の市場と比較して日本がなぜ相対的に魅力的であるかをアピールする必要があります。この質問に答えるためには、国内VCが米国市場と他のエマージングマーケットに対する理解を深めることが重要であり、同時に魅力的な投資実績を積むことが重要になります。

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