#230 VCに求められる戦略的な関係構築

天賦の才能+努力が必要
46(Youngrok) 2025.06.09
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今日は久しぶりに近くへ軽いハイキングに行ってきました。コースはサンフランシスコの北、マリン・カウンティにあるBon Tempe Lakeという湖を一周するものでした。歩きながら、自然の景色が本当に素晴らしいなと思っていたのですが、後で調べてみると実は人工湖でした。作られてからなんと77年も経っているらしいので「自然な景色だ」と思ってもおかしくない気もしますが、一方でちょっと騙された気分にもなりましたw。それでもとても気に入った場所だったので、静かでのどかな湖が恋しくなったら、また行くと思います!

Bon Tempe Lake

Bon Tempe Lake

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ベンチャーキャピタル(VC)業界では、定量的なアプローチの重要性がますます高まっています。上場市場と同様に、スタートアップを発掘・評価するためには、高度な定量分析手法が不可欠となっています。しかしVCは、依然として人間関係が中心にあるビジネスであり、定量データだけでなく、関係性が本質的な資産となっています。

以前の記事「#88 ベンチャー業界でコモディティ化する「関係性」」および「#188 ベンチャー投資業界で必要な「関係性」とは?」でも述べたように、真の関係とは、相互がリスペクトできる関係に基づくものです。しかし、そうした関係の深さ・幅・質を定量化するのは非常に難しく、LP(リミテッド・パートナー)がGP(ゼネラル・パートナー)をデューデリジェンスする際に大きなチャレンジとなります。誰もがある程度のネットワークを持っている一方で、それらのネットワークの質を比較・評価するのは簡単ではないからです。SNSでのフォロワー数などは知名度を示す一助にはなりますが、関係の深さまでは測れません。

例外はあるものの、人間関係を築く才能に長けた人がVC業界で成功してきたのは事実です。しかしこれからは、そうした先天的な能力に加え、関係性をより体系的に管理・拡張するための仕組みやプロセスを構築できる人が、より一層成功するでしょう。これは、プロスポーツにおいて天賦の才能だけでなく、訓練や戦略を通じて実力をより発揮できる選手が成功するのと同じ構図です。

さらに、AIエージェントの活用は、ベンチャーキャピタルの現場で今後不可欠なものとなっていくでしょう。投資家がAIベースのデジタルツインを活用し、他の投資家のデジタルツインと相互に作用し合うことで、人間関係を築き、強化する未来が想像できます。

もちろん、デジタルツインの一般的な普及はまだ先の話かもしれません。しかし重要なのは、AIなどの技術を積極的に取り入れ、価値中心の関係構築能力をさらに強化していく投資家こそが、今後のVC市場でより大きな競争優位を確立できるという点です。

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