#124 VC ファンド・オブ・ファンドの収益率が高い理由

投資リターンの格差が大きいVC投資
46(Youngrok) 2023.05.22
誰でも

先日、Kintsukuroiという映画のエキストラとして出演する機会がありました。第二次世界大戦中にアメリカに住んでいた10万人以上の日本人(日本に行ったこともない日系アメリカ人を含む)が強制的に収容所に送られた事件を扱った映画です。この事件については、アメリカも1988年に正式に被害者の方々に謝罪したほど重要な事件ですが、他の敵国であったドイツやイタリア系の人たちには同様の措置がなかったにもかかわらず、日本人にだけこのようなことが起こったことについては、肌の色が違う人種に対する差別的な要素もあったという見方もあります。とにかく、歴史の勉強にもなり、映画にも出演できて、良い経験でした!

収容所に連れて行かれる人々のシーン。赤いチェックのシャツを着ているのが私で、その横に赤い帽子をかぶっているのが妻ですw

収容所に連れて行かれる人々のシーン。赤いチェックのシャツを着ているのが私で、その横に赤い帽子をかぶっているのが妻ですw

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スタートアップへの直接投資ではなく、スタートアップに投資をするVCファンドに投資をするファンド・オブ・ファンズ(Fund of Funds)のファンド・マネージャーとして、今日はベンチャーキャピタル投資においてファンド・オブ・ファンズ投資が魅力的な理由についてお話したいと思います。

過去の記事で何度も強調したように、スタートアップ投資は本当に難しいです。誰でも投資をすることができますが、投資で魅力的な収益を上げることができる人は少数です。上位20~30%のVCだけが魅力的な収益を出し、残りの70~80%のVCの成果は、VC投資が持つリスクを考えると、あまり魅力的とは言えません。 VC投資は上位VCとそれ以外のVCとの間で投資リターンの格差が大きいのです。

つまり、上位20~30%に該当するVCに投資することができれば、魅力的な収益率、つまりいわゆるベンチャー投資スタイルの投資収益を得る機会が増えます。しかし、このアプローチには2つの問題があります。まず、通常は上位20~30%のVCが誰なのか分からないという点です。アメリカのVC市場は日本より50倍も大きいです。セコイアやアンドレセン・ホロウィッツ以外にも、あまり知られていない上位VCもたくさんあるのです。 例えば、NFXは米国では上位VCの一つでブランド認知度も非常に高いですが、日本ではあまり知られていないところです(disclaimer: NFXは私たちの投資先です)。

もっと重要な二つ目の問題は、どのファンドが上位VCであるかを知っていても、誰もがそのファンドに投資できるわけではないということです。良いネットワークがなければ、お金を持って行っても、普通はそのお金を受け取ってくれません。

この2つの問題を解決するために、VCに投資するファンド・オブ・ファンズが登場します。ファンド・オブ・ファンズは、何百ものVCに会ってデューデリジェンスをすることが日常業務であるため、どのVCが上位20~30%に該当するかを知ることができますし、彼らと常にネットワーキングもしています。VCファンド・オブ・ファンズは、ベンチャースタイルの収益を生み出すことができる上位のVCの集合体と言えます。

実際に収益率を見ると(ここではVCのパフォーマンスを測定する際に一般的に使用されるTVPIという指標を使用しました)、下のグラフで示すように、VCファンド・オブ・ファンズの中央値がVCファンドの中央値よりも高い収益率を出していることがわかります。

ファンド・オブ・ファンズの二重手数料構造について批判する人がいますが、投資家が二重手数料を支払った後もファンド・オブ・ファンズの収益率がVCよりも高いということは、いかに上位VCのパフォーマンスがその他のVCよりも魅力的であるかを示します。

このように上位VCとそれ以外のVCの投資収益の格差が大きい中で、ファンド・オブ・ファンズは上位VCのみに投資するため、VC投資のアップサイドを捉えることができるのです。 これが、ファンド・オブ・ファンズが高い収益率を誇る理由です。

私がこの仕事を選んだのもこのような理由であり、また、これがほとんどの人がファンド・オブ・ファンドを通じてVC投資に参加すべきだと考える理由でもあります。

Source:- PitchBook Benchmarks as of 2022 Q3

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