#81 次世代の資産管理ツールは?

オルタナティブ投資益々多様化していく中、今はそれらに対応できる資産管理ツールが存在しない
46(Youngrok) 2022.07.25
誰でも

僕はTedやLone Survivor、Transformerに出演したMark Wahlberg(マーク・ウォールバーグ)というハリウッドの男優さんが好きなんですが、彼は男優としてだけではなく、ビジネスマンとしても活発です。F45というジムにも関わってり、車のディーラーシップを買ったりしています。その彼はWahlburgersというハンバーガー屋さんチェインも創業しているのですが、近くに店ができたので初めて行ってみました。正直、少なくとも僕には味は普通すぎたので多分2度と行かないですが、俳優としては引き続き応援していきたいと思っています!

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前回の記事「#72 世界で一番大きな投資家は?そして彼らが最近投資を増やしているところは?」で話た内容ですが、近年プロの機関投資家たちはオルタナティブ投資を増やしています。実は、彼らが投資を単に増やしているだけではなく、オルタナティブ投資の市場自体が年々著しく拡大してきているのです。

話を進める前にもう一度、オルタナティブ投資の用語の整理をしましょう:「オルタナティブ投資とは、上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資対象や投資手法のことをいいます。オルタナティブ(alternative)は直訳すると「代わりの」「代替の」という意味です。具体的な投資対象としては、農産物・鉱物、不動産などの商品、未公開株や金融技術が駆使された先物、オプション、スワップなどの取引が挙げられます」(出典:SMBC日興証券)

上のチャートから分かるように、オルタナティブ投資資産のAUM(Asset Under Management、運用資産残高)は過去10年間大きく成長しており、さらに重要なことは、今後も成長が続くと予想されることです。

オルタナティブ市場が成長しているには多くの理由がありますが、その中でもオルタナティブ投資の新しい資産クラスの台頭は、注目すべき理由の一つです。

おそらく暗号資産は、最も人気のある新しい資産クラスの一つだと思います。しかし、暗号資産以外にも、新しいオルタナティブ投資の資産クラスは存在します。アートもその一つです。アートは必ずしも新しい資産クラスではないですが、最近投資対象として非常に注目を浴びているのです。現代アートは特に人気を博していて、下のチャートで表している通り、長期的に見ると米国の株式市場を表すS&P500よりも遥かに高い投資リターンを実現しています。

ワインも新しい投資資産クラスの一つです。イギリスでは、株式のような流動資産に投資している25歳以下の人の73%が、高級ワインに年間2万ポンド(約320万円)を使っているようです。また、スニーカーも新しい投資資産クラス一つです。スニーカーの再販市場は2030年までに$30B(約4兆円)の規模に達すると予想されています。

また、興味深いのは、アートやスニーカーといったものが、ブロックチェーン技術であるNFTを活用し初めているということです。最も権威のある美術品オークションハウスであるクリスティーズは最近、デジタルアートに特化したベンチャーキャピタル部門を立ち上げました。また、ナイキは最近、デジタルスニーカーを作るRTFKTという会社を買収しました。

アートやスニーカーのように実態があるものをデジタル形式で作ることによって、実態そのものに依存しなくなり、それらの市場規模は飛躍的に拡大する可能性が生まれてきます。当然これはさらに新しい投資資産クラスの台頭を意味します。

これらトレンドに共通するのは、ミレニアル世代(1981年から1996年に生まれた世代)やGen-Z世代(1997年から2012年に生まれた世代)といった若い世代の投資に対する考え方や投資対象への興味が変化していることです。若い世代は伝統的な投資資産クラスである株式や債券投資のみならず、多様なオルタナティブ投資資産クラスにも興味を持ち始めたのです。

2021年「The Art Basel and UBS Global Art Market Report」によると、2020年にはミレニアル世代が最も大きな消費者となったと報告しています。アートを購入したミレニアル世代の30%が100万ドル(約1.3億円)以上を費やしていて、これはその前の世代であるベビーブーマーの17%を超えます。

暗号資産も世代が若くなればなるほど、その浸透具合は広くなります。20代の31%が暗号資産を取引または利用した経験があるに対し、50代及び60代はわずか8%に止まります。

オルタナティブ投資そのものが新しい中、その市場は益々複雑化し、且つ拡大し続けています。ロボアドバイザーといった言葉がようやく一般用語として定着しつつある中、今の銀行や資産運用ツールを提供するスタートアップは、このような時代の変化に追いついて行っているのでしょうか。答えは恐らく「No」です。すなわち次世代の資産運用ツール領域には今後多くの機会が生まれてくるし、その機会を掴むために多くのまたスタートアップが生まれてくるでしょう。

References:

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