#95 危うい経済、でもVC市場は大丈夫そうな理由

今はこれまでより多く人々がテック企業やスタートアップに関わっている
46(Youngrok) 2022.10.31
誰でも

前スーパーで買ってきたじゃがいもに芽が生えてきてしまったので、じゃがいも専用の鉢と土を買ってきて、そもまま埋めてみました。そうしたら見事に育ってくれて、収穫もできたのです。もう2回サイクルを回したのですが、試行錯誤を経て少しずつ大きなじゃがいもが取れるようになりました。このままいけばいつかはちゃんとしたサイズのじゃがいもも収穫できるのではないかと期待しています!

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最近はVC投資環境の先行きについて懸念している人も多いです。プレシードやシードステージの投資はまだ活発ではあるものの、ミッド・レイトステージへの資金流入は枯渇してきており、ベンチャー投資の総額はここ2四半期で大幅に減少しているためです。歴史的に、金利が高いと、VC投資、あるいは株式投資のようなリスクプロファイルの高い資産クラスは人気がなくなってきたのも懸念材料の一つです。

しかし、当然、景気が悪くなったときの環境は毎回違ってきました。インターネットバブルの時とリーマンショックの時の環境は違っていましたし、今回もまた違います。今はテクノロジーが我々社会に与える影響力、そして技術革新による未来への期待感はかつてないほど大きいです。今は誰もがスマホを持っていますし、インターネット上で複雑につながっています。また、スタートアップで働くことは、もはや新しいことでは全くないですし、昔ながらの産業ではなく、大手テック企業が多くの人材を引き寄せるようになりました。すなわち、最も直近の不況だった14年前のリーマンショックとは大きく異なる環境なのです。

2012年(最も古いデータセット)から2020年(最新のデータセット)までの米国の国勢調査のデータを見てみると、上記の私の主張を裏付ける興味深い点がいくつか見つけることができます。

まず、下のグラフにあるように、多くの産業で企業数、従業員数が減少している中、情報産業だけが企業数、従業員数ともに2桁の伸びを示していることです。言い換えれば、情報産業だけが、多くの人を集め、新しい会社を生み出しているのです。

もう一点は、全体の情報産業の中でも、小規模会社(従業員数10人以下)の成長率が最も高かったということです。

会社の数だけでなく、実際に小さな会社で働く人の数もかなり増えました。最近、スタートアップで働く知り合いを見つけるのは難しくありません。これは私にも起きていて、例えば、一番身近な存在の一人である私の妻も数年前からスタートアップ企業で働いています。

また、他の興味深い点は、従業員数で最大の増加を見せたのは、大企業で起きているとのことです。これは、ここ10年弱の間に少数の大手テック企業が多くの人材を雇ってきたことを示します。我々の社会構造が大きく変わってきているのです。

最近多くのテック企業が採用を止めたり、解雇を進めたりしているのですが、その人たちはどうなるのでしょうか?次のステップとして自分のスタートアップを立ち上げることもよくあるはずです。リーマンショックの時でさえ、解雇された人たちが多くのスタートアップを立ち上げていました。

とはいえ、高金利、景気後退などの影響がスタートアップやVC投資環境に全くないとは言い切れません。しかし、重要なことは、大手テック企業にしろ、スタートアップにしろ、これまで以上に多くの人々が携わっていて、我々社会でより重要な役割を果たしているということです。ですので、経済の状況と関係なく、これからも引き続き優秀なスタートアップやイノベーションが起きることは間違いないのではないかと私は考えます。

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