#236 成功するVCファンド投資もまた、「アート」と「サイエンス」 のうまいバランス
サンフランシスコの有名なレストランといえば、フェリービルディングにある「Hog Island」が挙げられます。先日、その「Hog Island」がサンフランシスコ北部に位置するマリン郡に新しい店舗をオープンしました。特に期待をせずに訪れたのですが、改めてここがなぜオイスターで有名なのかを再確認することができました。新しくできた店舗ということもあり、綺麗で雰囲気も良く、最近何度か通っています。おそらく2~3週間以内にまた訪れると思います。マリン郡で美味しいシーフードを食べたい方にはぜひおすすめの場所です!

私はアメリカの投資銀行でエンジニアとしてキャリアをスタートしました。当時、私はテクノロジーが投資銀行業界にいかに大きな影響を及ぼし、重要な役割を果たしているかを直接経験しました。それに比べ、テクノロジー分野への投資を行うベンチャーキャピタル業界におけるテクノロジーの役割は、過去には比較的小さなものでした。しかし、当時からベンチャーキャピタル業界を根本的に変革する潜在力があることを明確に理解していた人々もいました。そして現在、その潜在力は現実のものとなり、テクノロジーはスタートアップ投資の重要な要素となってきています。
今や、ほぼすべてのベンチャーキャピタルは戦略や規模に関係なく、投資決定を行う際にテクノロジーとデータに基づいたインサイトを活用します。むしろ、こうした技術を全く利用しないVCを想像することは難しいほどです。
しかし、ベンチャーキャピタル業界がテクノロジーを積極的に取り入れてきた一方で、ベンチャーファンドに投資を行う出資者(LP)のコミュニティは、このようなイノベーションを導入することに対して比較的消極的でした。幸いなことに、現在ようやく変化が起きつつあります。VCから資金調達も行ったスタートアップたちが、LPがファンドへの投資や運営方法を革新的に改善できるようなプロダクトを作っています。これらのスタートアップはテクノロジープラットフォームを通じて、デューデリジェンスや投資プロセスの効率化を図っています。
私自身もLPとしての効率性を高めるため、テクノロジーの積極的な活用に多くの時間とリソースを投資しています。当社のチームは、デューデリジェンスのプロセスや運営効率を向上させる独自のシステムを開発しました。このような技術投資の主な目的の一つは、投資決定における感情的な偏りを最小限に抑え、個人的な親交や好みではなく、客観的な分析や将来の潜在力に基づいて資本を配分することです。
しかし、どれほど優れたアルゴリズムや最先端のシステムを使用したとしても、人間の直感は依然として投資決定において重要な役割を担っています。最近、数名の個人LPに特定のファンドに投資しなかった理由を尋ねたところ、彼らは皆一様に、そのファンドのGPに信頼が持てなかったと答えました。「今はまだピンと来ない」ということです。異なるGPに関して尋ねても、回答は同じでした。彼らは長年の投資経験を通じて独自の直感的な感覚を培ってきた方々です。
実際、このような現象を裏付ける研究も存在します。研究によれば、経験豊富な人々が本能的に決定を下すと、より良い結果が得られる場合が多いそうです。ウォーレン・バフェット氏も自身が投資決定を下すのに5分あれば十分だと語ったことがあります。

私自身も投資プロセスに定量的で厳密な方法論を取り入れようと努力していますが、人間の判断を完全に置き換えることはできないという現実を認めています。現在私たちが開発したシステムも、意思決定をより効率的にサポートするものであって、決して意思決定そのものを代替するものではありません。これだけでも意思決定や運用効率の改善には十分大きなインパクトがあります。
結局、LP業界におけるテクノロジーの活用は、人間の直感を排除するものではなく、それを補完し強化する方向に進むべきだと思います。高度な分析手法と熟練した投資家の繊細な判断力を組み合わせることで、最も有望なファンドを見つけ出し、イノベーションを生み出し、卓越した成果を達成することができます。素晴らしい投資とは、「アート」と「サイエンス」の融合であり、今後のLP投資もまた、この二つの要素をバランス良く取り入れるべきだと思います。
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