#128 シードとシリーズAは同じ初期段階投資ではない
先月、ファミリー関連の行事でソウルに帰っていた時、韓国有数のVCであるフューチャープレイというVCのオフィスを訪問する機会がありました。ちょうどピッチングイベントも開いていたのですが、なかなか立派なオフィスでした。同VCは韓国大手芸能事務所であるSM(BOAや少女時代などが所属)と近い関係にあることからSMと同じビルに入居していて、ついでにSMにもお邪魔させて頂きました。たくさんの良い話もたくさんできましたし、総合的にとても良い訪問になりました。招待していただいたフューチャープレイの方々に改めて感謝し、今後もより多くの方々にお会いすることを楽しみにしています!
SMの社内カフェ
VCファンドの投資リターンを最大化する方法は実は簡単です。未来私たちの社会に大きな影響を与えることができるスタートアップにファンドの全てのお金を投資することです。
Airbnbは2008年に設立され、翌年にSequoiaなどのVCからシード投資を受けました。 Crunchbaseによると、当時のバリュエーションは$2.4M(約3.4億円)でした。 そして1年後の2010年にはGreylockなどのVCからシリーズA投資を受けました。 この時のバリュエーションは$67M(約95億円)です。 それから10年後の2020年には$86B(約12兆円)という企業価値でIPOを行いました。なんとシードバリュエーションの3万5千倍!そしてシリーズAバリュエーションの1,200倍に相当する価値です。Airbnbが今のAirbnbになることを知っていて、且つ投資できる機会があったのであれば、シードラウンドに持っているなるべく多くのお金を投資した方が良かったはずです。
要するに良い会社にできるだけ早く投資することが重要です。しかし問題は、どの会社が次のAirbnbになるかは誰もわからないということです。 初期段階のスタートアップほど失敗する可能性が高いので、VCはポートフォリオを構築することになります。
シード段階ではリスクが大きすぎるため、シリーズA段階での投資を試みることもできます。2004年から2015年までシリーズA投資を受けた企業のうち13%が、シード投資を受けた企業のうち25%が破産しました。
しかし、シリーズA投資はスタートアップがより高くなった時に投資をすることになるので、その分投資収益は低くなります。先ほどのAirbnbの例からもわかるように、シード投資家とシリーズAの投資家の収益は大きく異なります。もちろん、1,200倍という成功も十分すぎるほどですが、Airbnbは最も成功したスタートアップの一つであることを認識する必要があります。
そうなると、初期段階に投資するVCとしては悩みます。最も高い投資収益の可能性を追求しながら最も高いリスクを取ってシードラウンドに投資するのか、それとも必ずしも最も高い収益の可能性を追求しないが、シードよりもリスクが低いシリーズAラウンドに投資するのか。
これは非常に難しい質問です。 収益目標、LP性向、投資対象業界、ファンド規模、投資地域などによって答えは変わります。 つまり、様々な要因によってこの質問に答える方法が変わります。例えば、アメリカでは10億円規模のファンドでシリーズA投資をするのは無理がありますし、逆に1000億円のファンドでシード投資をするのは意味がありません。また、バイオ領域のシード段階の会社とIT領域のシード段階の会社は全く違います。
しかし、シードステージ、あるいはシリーズAステージが「自分が一番よく知っているステージだから」という理由でそのステージをターゲットにするというキャピタリストもいます。しかし、前述したように、様々な要因によって最適なリターンをもたらす投資段階は異なります。単にキャピタリストの親しみやすさではなく、投資戦略の一部として目標ステージを設定することが重要です。
References:- Data source: Pitchbook, Crunchbase
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