#57 日本ではあまり知られてないアメリカのトップVCは?

日本ではアメリカの少数のトップVCのみが知られているが、それは氷山の一角に過ぎない
46(Youngrok) 2022.02.07
誰でも

東京都、経済産業省、NEDO、JETRO、日本政策金融公庫などが後援するアジア最大のオープンイノベーションイベントであるInnovation Leaders Summit(ILS)がオンライン上は2月7日から10日、リアルは2月16日から18日まで虎ノ門で開かれるのですが、その中の「Global Startup Ecosystemを形成し世界市場をめざせ」というセッションにAlpaca CEOの横川さんやJETROの樽谷さんと登壇することになりました。参加費も無料ですので、ご興味ある方々は是非ご視聴ください!

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トップティアのVCの中でも競争が激化する中、「シグナルVC」になるためだけでなく、その地位を維持するためにも、強いブランド力を作ることが重要になってきています(※ シグナルVCとは、あるスタートアップへの出資自体がそのスタートアップが非常に有望だというシグナルになるようなVC。例えば、シグナルVCの一つであるセコイアから出資を受けたスタートアップは、セコイアから出資を受けたという事実自体が有望なスタートアップだというシグナルになる)。

ブランド力を計る上で、ホームページへのアクセス数は非常に有効です。もちろん、これは唯一の指標ではありませんし、最も意味のあるKPIでもありません。しかし、ブランド力を測る上で一般的に使われるKPIとして、VCのブランド力を評価する上でも有用な指標になります。また、アクセス数は質の高いデータが簡単に入手することができるのも重要なポイントです。

今回、米国の有名VCを40社ほどを選び、2020年1月から2021年12月までのアクセス数データをSimilarWebから取得し分析してみました。

トップはアンドリーセン・ホロウィッツあれだけ積極的なコンテンツ/メディア戦略を実行しているアンドリーセン・ホロウィッツが過去2年間で最も多くのウェブサイトトラフィックを記録していることは驚きではありません。

アンドリーセン・ホロウィッツ以外にも見慣れているところもいくつかあるかと思いますが。例えば、2位にランクインされているFirst Round Capitalは日本でも認知度のある著名VCであり、セコイアキャピタル、リンクドインの創業者であるリード・ホフマン氏がリードするGreylock、私がVCキャリアを始めたVCファンドで、バイオ投資で大きな影響力のあるARCH Venture Partnersも上位にランクインされています。

このランクが実際にファンドのパフォーマンスと相関しているかどうかはまだ分析が必要なところですが、少なくともブランド力を持つVCとしてスタートアップ投資シーンにおいて大きな影響力があると言えます。

日本とアメリカでのブランド認知度の大きな差ブランド力は、国によってまったく異なるストーリーを持ちます。例えば、日本だと「牛角」は色々なところにある安い焼肉屋さんですが、アメリカだとそこそこ高い、高級日本焼肉屋さんです。

下の表は、上位10位のVCファームを米国と日本それぞれ示しています。両方とも、アンドリーセン・ホロウィッツがトップです。「Multiple」のコラムは、アンドリーセン・ホロウィッツが他のファンドと比較して何倍のアクセス数を持つかを示しています。例えば、米国では、アンドリーセン・ホロウィッツはFirst Round Capitalの2.4倍のアクセス数を持っています。

このことから分かるのは、アメリカは日本に比べて標準偏差が非常に低いということです。言い換えれば、ホームページのアクセス数が米国ではよく色々なVCで分散しているのに対し、日本ではよりかなり偏っているのです。アンドリーセン・ホロウィッツとNFXのアクセス数の差は、アメリカは4.1倍にすぎないですが、日本だと89倍もあります。多くの人がアンドリーセン・ホロウィッツを(だけ)知っていて、他のVCを知っている確率はかなり低いのです。

実際にアメリカではトップ3になっているUpfrontは日本ではランクインさえされてなかったり、他の非常に著名なVCの一つとして知られるAccelは、日本だと過去2年間で2,000強のアクセス数のみがあるなど、殆ど日本だと知られていないことが分かります。

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強いブランド力を持つことがVCファームとして成功する唯一の鍵ではありませんが、より競争が激化していくVC投資領域において、強いブランド力を持つVCの方がそうじゃないVCに比べて勝っていく可能性はこれからより高くなると思います。また、必ずしも日本では知られてないものの、アメリカでは非常に強いブランド力を持つVCが多数あることを認識するだけでも、よりアメリカスタートアップで起きていることに関して幅広い知見を獲得することができるようになります。

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