#205 米国のVC投資市場に飛び込む前に考えないといけないこと
サンフランシスコは先週の木曜日から雨が降りました。東京で雨が降ると言う時の量に比べれば少ないですが、普段ほとんど雨が降らないここでは、少し雨が降ってくると慌てて傘の場所を探さなければなりません。サンフランシスコで雨が降るということは、冬になったことを告げる合図でもあります。通常11月から雨が降り始め、2~3月まで続き、気温も一緒に下がります。こうして雨が降っているのを見ると、2024年がもうすぐ終わろうとしていることを実感します。そろそろ今年を振り返って、新年の計画を立てなきゃ、と思いました。
土曜日の朝
米国のベンチャーキャピタル(VC)市場の魅力は否定できません。膨大な規模と堅固なエコシステム、グーグルやオープンAIのような成功事例により、日本を含む全世界の投資家が集まるのは当然のことです。特に日本の投資家にとっては、より魅力的な投資回収機会により、米国のVC市場は約束の地のように見えるかもしれません。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
米国のVC市場はこれまで世界で最も魅力的な市場であり、VCという産業を誕生させた場所でもあります。しかし、投資家、特に海外からの投資家にとっては最も挑戦的な環境でもあります。収益率はとても魅力的かもしれませんが、当然その分競争が激しく、成功が保証されるわけではないからです。
このような例を考えてみてください。日本語は流暢ですが、日本語が母国語でない外国人投資家が日本で日本人投資家と競争した場合、成功する可能性はどのくらいでしょうか? 成功事例がないわけではないですが、可能性がとても高いわけではありません。米国市場に進出する外国人投資家にも同じ論理が適用されます。様々な専門性を備えた人材であっても、米国現地の微妙なカルチャーのニュアンス、ネットワーク、市場の激しい競争など、多くの障壁にぶつかるのが当たり前です。
米国のベンチャー市場には、非常に多くの実力を備えた現地のキャピタリストが、魅力的な案件をソーシングし、投資を実行するために絶え間なく努力しています。セコイア、アンドレセン・ホロウィッツ、エクセルや、多くの実力ある新興VCが長年培ってきたネットワークとリソースを基に活躍しています。このような状況下、海外からの投資家にとって、この緊密でクローズドなエコシステムに参入することは大きな挑戦です。
日本の投資家が米国市場への進出を真剣に検討している場合、現地VCファンドとのパートナーシップは選択ではなく必須です。現地ファンドは、海外投資家にはないネットワーク、市場のインサイト、ファンド運用の専門知識を提供します。国内投資家は、このような現地のプレイヤーとパートナーシップを結ぶことで、急峻なランニングカーブを少しでも緩和することができます。
もちろん、すべてのパートナーシップが同じというわけではありません。重要なのは、多くのファンドと会い、自分たちの投資戦略に合致したり、フィット感"が合う適切なパートナーを選択することです。
もう一つの一般的な戦略は、ローカル人材を採用することで、ランニング・カーブをの緩和を試みることです。このアプローチには明らかな利点がありますが、困難がないわけではありません。高いレベルの優秀なVC人材を確保するための競争は非常に激しいからです。米国のパートナー級ベンチャーキャピタリストは、成功報酬を除いても、年間50万ドルを簡単に超えることになります。このような人材を採用したとしても、文化的なギャップはまた別のハードルとなります。
米国のベンチャーキャピタル市場への投資は間違いなく優れたリターンをもたらす可能性がありますが、単純な資本以上のものが必要です。明確で慎重な戦略、現地でのネットワーク構築、米国での挑戦に適応するための強い意志が必要です。
つまり、日本の投資家にとって重要なのは、米国市場に投資するかどうかではなく、どのように投資するかです。現地ファンドとのパートナーシップ、現地でのプレゼンス構築、人材への投資は、すべて正しい方向へのステップです。これらのステップを踏まないと、ベテランの現地プレイヤーでさえ成功するのが難しい競争の激しい米国市場で苦い経験を避けることができないでしょう。
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