#168 人工知能時代にスタートアップにより必要なもの

結局必要なのはマーケティング
46(Youngrok) 2024.03.25
誰でも

4月8日から10日まで東京に行く予定です。今回はTakeoff Tokyoのサイドイベントの一つとしてエマージングVC(新興VC)に関するミートアップを開く予定です。来ていただきたいオーディエンスとしてはいつか自分のVCを始めたいと思う次世代のVCの方々で、今ジュニアメンバーとして他のVCで働いている方や、エンジェル投資などをやられている方々を想定しています。Takeoffの割引の案内を含め、詳細は今週また私のNoteやメルマガにて配信する予定ですので、ぜひ確認及び拡散の方お願いいたします!

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LPをインタビューするポッドキャストでいくつか影響力のあるところがありますが、その一つがSuperclustersというポッドキャストです。ホストのDavidとは去年より仲良くしてもらっている知り合いで直近のエピソードにも出演する機会がありました。このポッドキャスト、色々なアメリカの影響力のLPの話が聞けるとても良いポッドキャストですので、ご興味ある方々はぜひチェックして頂けたらと思います!

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最近のAI革新によって加速している傾向の一つは、サービスの開発速度です。これと関連し、以前の記事では、製造業のように比較的ソフトウェア・エンジニアのリソースが不足している、つまりサービスの開発速度が比較的遅い、産業でAIスタートアップが良いチャンスをつかむことができると話しました('#163 AIスタートアップが輝くことができる業界')。

ソフトウェア・エンジニアリングのリソースが不足していない産業については、AIスタートアップは全くチャンスがないのでしょうか? もちろん、答えは「いいえ」です。どこにでもチャンスは存在し、そういう業界にもチャンスは存在します。実際、ゲーム、開発者ツール、B2Bエンタープライズなどの分野でチャンスを掴もうとするAIスタートアップはたくさんあります。

しかし、それらスタートアップが成功するためのプレイブックは、他の産業でのスタートアップとは多少違うと思います。要するに、画期的な技術的優位性を持っていない限り、きちんとした市場進出戦略(Go-To-Market)/マーケティング/営業戦略が必要になります。

もちろん品質の良いサービスを開発することは当然のことです。しかし、仮に誰もが短期間である程度質の良いサービスや製品を作ることができる世界を考えてみましょう。私は、AIイノベーションにより、そのような世界に急速に近づいていると思います。同じようなサービスが多く、互いの違いが少ない場合、サービス自体で差別化を図ることは難しくなります。 その代表的な例が私たちがのむ「水」です。もしかしたら、炭酸水のペリエの成功ストーリーは、弊社出資先VCのNFXのブログ「AIは水と同じ」で説明したように、今後のAIスタートアップにとって良いケーススタディになるかもしれません。もっと最近の事例としては、最近14億ドル(約2,100億円)の価値で6,700万ドル(約100億円)を誘致したLiquid Deathを挙げることができます。この会社の主な成功要因は、TikTokとInstagramで790万人のフォロワーを抱えていることです。これは単なる缶詰の「水」です。 

Liquid Deathの資金調達に関するForbesの記事

Liquid Deathの資金調達に関するForbesの記事

先週、最も影響力のあるゲームメディア企業の1つの創業者と他のチームメンバーと話をする機会がありました。彼らは、最近自分たちのVCを立ち上げたばかりです。彼らは「今やゲーム自体を作ることは問題ではなく、ゲームの流通が重要なのです」と語っていました。インディー・ゲーム開発チームや小規模なゲーム会社の影響力は、AIのようなイノベーションによってますます大きくなっており、その結果、市場にリリースされるゲームも多くなっています。

ゲーム業界のみならず、ますます初期段階から適切なマーケティングへの投資が重要になってきていると思います。 今までは、マーケティングと営業の役割は他の職種に比べて重要視されていませんでした。 Cartaのデータによると、他の職種に比べて離職率が高いそうですが、今後は変わっていくと思います。

References:

・State of startup compensation, H1 2023 - https://carta.com/blog/startup-compensation-h1-2023/

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