#281 投資ペースを落とすGPをどう評価するか
先週末は、家族で短いハイキングに行ってきました。もうすぐ2歳と4歳になる子どもたちも、少しずつ長い距離を歩けるようになり、その成長を感じました。
ベイエリアは自然が豊かで、綺麗なハイキングコースがたくさんあります。住んでいるなら一度は楽しみたいアクティビティの一つです。これから子どもたちと一緒に、いろいろなトレイルを歩けるようになるのが楽しみです。

John MaLaren Park
先週、出資先のGPとキャッチアップをした時の話です。
もともとは今年末頃から次のファンドのレイズを開始する予定だと聞いていましたが、今回のアップデートでは、それを来年以降に先延ばしする方針とのことでした。理由はシンプルで、今のファンドの投資ペースを少し落としているためです。まだ十分なドライパウダーが残っており、無理に投資を急ぐのではなく、もう少し時間をかけて投資を進める。その結果として、次号ファンドのレイズも後ろ倒しにするという判断でした。
現在のように市場が盛り上がっている局面では、GPにとって投資ペースを上げたくなる誘惑は少なくありません。魅力的に見える案件も増え、他の投資家も積極的に動いているため、良いスタートアップを逃したくないという心理も働きます。特にVC投資では、優良案件に参加できなかったこと自体が機会損失となります。
そのような環境の中で、あえて投資ペースを落とし、ドライパウダーを温存しながら慎重に案件を選ぶという判断は、投資規律という観点から非常に評価できるものだと思います。
例えば、2年で投資する予定だった資金を2年半から3年かけて投資することになったとしても、ファンド全体のライフサイクルから見れば、それほど大きな違いでもありません。しかし、その数か月から1年の差によって、より良い案件を待つことができたり、過熱したバリュエーションを避けることができたりするのであれば、LPとしては十分に意味のある判断だと感じます。
一方で、投資ペースを落とすことには当然ながらデメリットもあります。
最も分かりやすいのは、投資実績が見えるタイミングが遅くなる可能性があることです。
例えば、あるファンドが2026年中にすべての投資を完了したケースと、2026年から2029年まで4年かけて投資を行ったケースを比較してみます。前者の場合、すべての投資が同じタイミングでスタートするため、フォローオン投資、評価額の上昇、場合によってはエグジットなどの成果も比較的早く見え始める可能性があります。
一方で、2029年まで投資を行ったいたファンドは、その成果が見えるまでに当然時間がかかります。そのため、ファンド全体としての実績が表面化するスピードは遅くなる可能性があります。
これは、GPが次号ファンドをレイズする際にも影響を与えます。ただし、投資ペースを速めることが必ずしも次号ファンドのレイズに有利とは限りません。
2026年中にすべての投資を完了したファンドの場合、そのGPは2026年頃には次号ファンドのレイズを開始する必要があります。しかし、その時点では投資からまだ1年程度しか経過しておらず、LPに見せられる実績は限定的である可能性があります。
一方で、4年かけて投資を行うファンドの場合、次号ファンドのレイズが2029年頃になるとすれば、2026年や2027年に投資した案件については、ある程度の進展や成果が見え始めている可能性があります。つまり、次号ファンドのレイズ時には、より具体的な実績を示せるというメリットもあります。
このように考えると、投資ペースを速めることにも、遅くすることにも、それぞれメリットとデメリットがあります。結局のところ、どちらが正しいという単純な話ではありません。
LPとして重要なのは、「投資ペースが速いから良い」「遅いから悪い」といった表面的な判断をしないことだと思います。
なぜそのペースで投資を行っているのか。市場環境をどのように見ているのか。ポートフォリオ構築上どのような意図があるのか。そして、その判断に一貫した投資規律があるのか。そうした背景まで含めて評価することが重要です。
GPにとって、投資期間をどのように使うかは非常に重要な経営判断の一つです。そしてLPにとっても、それはGPの判断力や投資哲学を理解するための重要な材料になります。
投資ペースを調整することには、常にトレードオフがあります。だからこそGPはその判断をLPに対して丁寧に説明する必要がありますし、LPもその背景にある戦略や規律を理解した上で評価する必要があります。
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