#287 アンソロピックに投資をするべきか
家から車で5〜10分ほどの場所で、毎週土曜日の朝にAlemany Farmers' Marketというファーマーズマーケットが開かれます。近くて品揃えも良いのでよく行くのですが、野菜もフルーツもやはり美味しいなと、今週末改めて感じました。唯一の欠点は肉を扱っているところがないということですが、それを差し引いても十分満足です。

最近、エマージングVC、すなわち新興VCでも大型ファンドを組成するケースが増えてきているように感じます。例えば、元General CatalystのNiko Bonatsos氏はMichael Fertik氏とともに$300Mのファンドを立ち上げました。また、BenchmarkとCoatueでの経験を持つVictor Lazarte氏とKris Fredrickson氏は、$800Mのファンドを組成しています。さらに昨年には、Sequoia出身のMatt Miller氏も大型の1号ファンドを立ち上げました。
その背景には、レイターステージ投資でも十分に魅力的なリターンを生み出せる市場環境があります。例えばAnthropicは、2024年のSeries D時点ではポストマネーバリュエーションが約$21Bでしたが、今年5月のSeries Hでは約$965Bまで上昇しました。わずか2年ほどで約46倍の評価額になった計算です。SpaceXも同様で、数年前には数百Bドル規模で取引されていたセカンダリー価格が、現在では約$2Tまで拡大しています。
実際、こうしたラウンドに投資した投資家が非常に魅力的なリターンを得ているという話はよく耳にします。また、Thrive Capitalの$10Bファンド、Andreessen Horowitzの$15Bファンド、Sequoiaの$7Bファンドなども、著名ファンドの大型ファンドの立ち上げは、彼らの同様な投資戦略を裏付けます。
一方で、私はやや慎重な姿勢を取っています。
第一に、ベンチャー投資は非常に循環性の高いアセットクラスだからです。現在は確かに好機が開いています。しかし、ベンチャー投資でも株式投資でも、「何に投資するか」と同じくらい、「いつ投資するか」が重要です。この環境がいつまで続くのかを読むのはとても難しいです。
第二に、十分なデューデリジェンスを行うことが難しい点です。レイターステージの投資案件では、相当な著名ファンドや大型ファンドじゃなければ、頼れる情報が限られていることも少なくありません。限られた情報と短い時間の中で、大きな投資判断を下さなければならない場面もあります。100%自分自身の資金であれば別ですが、人からお預かりした資金を運用する立場としては、十分な検証を経ずに投資することには抵抗があります。
もちろん、「どこまで情報があれば十分なのか」という基準は人それぞれでしょう。詳細なデータルームが必要という方もいれば、投資メモ程度で十分という方もいます。しかし、少なくとも私自身は、「Elonの会社だから」「今話題だから」といった理由だけで投資判断を下すことはできません。
そのため、私はこれまでxAIの初回ラウンドや2024年のAnthropic、さらにはAnduril、OpenAI、Databricksなどへの投資機会がありましたが、多くを見送ってきました。その代わりに、マクロ環境の影響を比較的受けにくいアーリーステージ投資に引き続き注力しています。この方針は、今後もしばらく変わらないと思います。そして、これら会社には私たちが出資したポートフィリオファンドを通じて持分をすでに持っているのです。
とはいえ、レイターステージに魅力的な機会が存在することも事実です。私自身もすべてを見送ってきたわけではなく、一部についてはオポチュニスティックに投資を行っています。そして、そのような投資ができるのは、ファンド・オブ・ファンズという立場だからこそ得られる情報アービトラージの恩恵があるためです。
今後も市場を勝つために、慎重な姿勢を維持しながら、一つひとつの投資機会と向き合っていきたいと考えています。
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