#285 増え始めたマイクロVCのファンド・オブ・ファンズ

専門のファンド・オブ・ファンズ(FoFs)の増加が示す、独立した資産クラスとしての成熟。
46(Youngrok) 2026.06.29
誰でも

先週の日曜日、初めてマラソン大会に出ました。参加したのは、Golden Gate Bridgeを眺めながら走るPresidio Marathonです。マラソンといっても、5Kでしたが、まずはやってみたということに意味があると思っています。

徴兵時代には10Kくらいまでは定期的に走っていたのですが、それももう20年以上前の話です。当時と比べると、体重も少なくとも15キロは増えています。

それでも今回の5Kはつらくなく、28分弱で走ることができました。次は10Kにも挑戦してみたいと思います!

今回10Kを走った妻が、ゴールデン・ゲート・ブリッジで撮った写真

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日本では、Fund of Funds、いわゆるFoFsという仕組みは、まだそれほど一般的ではありません。

その理由の一つは、日本のVC市場では、そもそもFoFsが担うべき機能がそこまで強く求められてこなかったからだと思います。

FoFsの主な役割は、LPとファンドをつなぐことです。特に、ファンドの数が非常に多い市場や、優良ファンドへのアクセスが難しい市場では、どのファンドに投資すべきかを見極め、LPに代わってポートフォリオを構築するFoFsの価値が大きくなります。

ですので、アメリカのようにVC市場が非常に大きく、ファンドの数も多い市場では、昔からFoFsが存在してきました。

私は、アメリカにおけるFoFsを大きく三つのカテゴリーに分けて考えています。

一つ目は、プライベート・エクイティを中心とする大手アセマネ系のFoFsです。バイアウトファンドやクレジット戦略などを中心に扱うプレイヤーで、日本にも機関投資家の顧客基盤を持つHarbourVest、StepStone、Hamilton Laneなどが代表例です。これらの会社は非常に規模が大きく、ファンドサイズも数百億円から数千億円を超えるものまであります。歴史的にバイアウトを中心に発展してきたプレイヤーが多く、VCだけに特化しているわけではありません。

二つ目は、大型VCファンド・オブ・ファンズです。こちらはVCに特化したFoFsで、ここと数百億円から数千億円規模のファンドを運用するプレイヤーになります。

これまでのアメリカのVCファンド投資は、ある意味で「アクセスゲーム」でした。つまり、Sequoia、Benchmark、Founders Fund、a16zのような著名VCにどうやって投資するか、アロケーションをどう確保するかが大きなテーマでした。

そのため、このカテゴリーのFoFsは、主にトップティアVCへのアクセスを提供することを価値としてきました。Top Tier Capital Partners、TrueBridge、Next Legacyなどがこの領域の代表的なプレイヤーです。

三つ目が、私たちが属しているマイクロVC専門の小型〜中型FoFsです。

新興VCやマイクロVCが増え始めた2020年前後から、このカテゴリーにもいくつかのプレイヤーが出てきました。私が2021年に立ち上げた75億円規模のGREE LP Fundも、その一つです。

同じ時期に出てきた「同期」プレイヤーとしては、Pattern Ventures、Levels、Slipstream、Screendoorなどがあります。これらはおおよそ20億円から100億円程度の規模で、主にマイクロVCや新興VCへの投資を行っています。

最近では、この三つ目のカテゴリーに、さらに新しいプレイヤーが増えてきているように感じます。例えば、ヨーロッパからアメリカのマイクロVCに投資するFoFsや、南米から同じように米国マイクロVCへ投資するFoFsなどです。

個人的には、これは非常に良い流れだと思っています。

なぜなら、大手FoFsや大型VC FoFsは、運用規模が大きいため、マイクロVCへの投資が必ずしも簡単ではないからです。小さなファンドに対して大きな金額を入れにくいですし、仮に投資できたとしても、ファンド全体のパフォーマンスに与える影響は限定的になりがちです。

例えば、1000億円規模のFoFsが20億円規模のマイクロVCに投資しようとしても、出資できる金額には構造的な限界があります。大きく出資しすぎると、そのマイクロVCのLP構成における割合が高くなりすぎます。一方で、小さく出資すると、FoFs全体のリターンにはほとんど影響しません。

つまり、マイクロVC投資には、ファンドサイズのミスマッチという構造的な課題があります。この点において、マイクロVCを専門に扱うFoFsには明確な存在意義があります。

もちろん、大型VC FoFsの中にも、メインファンドとは別にマイクロVC向けのプログラムを持つところはあります。また、Cendanaのように、比較的大きな規模を持ちながらもマイクロVC投資に特化しているプレイヤーも存在します。ただ、マイクロVCへの投資を本格的に行うには、専用の投資戦略が必要なのは変わりません。

大型VC FoFsの価値が「著名ファンドへのアクセス」にあるとすれば、マイクロVC専門FoFsの価値は少し異なります。

マイクロVCの場合、まだブランドが確立していないファンドも多く存在します。そのため、単にアクセスするだけではなく、誰が本当に優れた新興マネージャーなのかを見極めることも重要になります。つまり、新しいマネージャーを発掘し、選別し、継続的にモニタリングしていくことにあります。

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私がこの領域で活動を始めた頃は、マイクロVCや新興VCについて知っている投資家はまだ一部で、「マイクロVCとは何か」「なぜ大型VCではなく小型VCに投資するのか」から説明する必要がありました。

しかし最近では、少しずつ状況が変わってきています。マイクロVCという言葉を聞いたことがある人も増え、小型ファンドがなぜ高いリターンを生み出し得るのかについても、理解が広がってきているように感じます。

もちろん、私自身もこのブログなどを通じて発信を続けてきましたが、それ以上に重要なのは、この領域で実際に活動するプレイヤーが増えてきていることです。

新しいプレイヤーが増えることは、単なる競合の増加ではなく、市場全体への関心とリテラシーが高まっている証拠だと思います。また、これまで一部の人しか理解していなかったマイクロVC投資が、少しずつ一つの投資カテゴリーとして認識され始めているサインだと思います。

この市場がこれからどのように発展していくのか、非常に楽しみにしています。

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