#100 上位1%の富裕層はどこに投資をしているのか?

富裕層の中で存在感を増すオルタナティブ投資資産
46(Youngrok) 2022.12.05
誰でも

ワールドカップが盛り上がってきましたね!アメリカもベスト16に入って、その試合が土曜日の朝7時にありました。近所の歩いて行けるローカルビールのブルワリーで試合が見れるというので行ってみたのですが、朝7時からビール飲みながら試合を見る人は少ないだろうと思ったら、ものすごい多くの人々でびっくりしました。結果は残念でしたが、「USA!」を叫び合うアメリカ人と朝からビールとパンケーキを食べながらの応援は楽しかったです。次は日本戦ですが、是非是非今までの勢いでベスト8にもいってほしいですね!

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米国では富(ウェルス)の格差が重大な社会的課題となってきています。上位10%と下位90%の世帯間の富の格差は、30-40年前くらいから徐々に拡大してきています。米国の全体の富に占める富裕層の割合が段々と高くなってきているのです。CNBCは、昨年末に株式市場がピークに達したとき、最も裕福な10%のアメリカ人は米国株全体の89%を保有するという報道もしています。

上位10%世帯と下位90%世帯の全体の富における割合

上位10%世帯と下位90%世帯の全体の富における割合

CNBCの記事にあるように、富裕層たちは株式投資を通じて多くの富を作ったようです。COVIDの期間中、多くの下位90%世帯の人々が、手数料ゼロで株の売買ができるオンライン株式取引プラットフォームの代表格であるRobinhoodの口座を開設したそうです。これは良いニュースです。より多くの人々が富を蓄積するための扉を開いたのです。

しかし、もう一つ注目したいデータがあります。富裕層の資産構成データです。これを見ると、1990年代後半からヘッジ・ファンドやプライベート・エクイティ・ファンドなど、オルタナティブアセットクラスの比率が高まっているのです。2010年時点で、それらの資産クラスと株式との差は大分縮まってきています。

上位1%のファウンデーション(財団、富裕層たちが資産管理でよく使う組織形態)の資産の割合

上位1%のファウンデーション(財団、富裕層たちが資産管理でよく使う組織形態)の資産の割合

これにより富裕層がいかに早く新しい資産クラスを開拓し、富を増やしていったかがわかります。下位90%の人々にとって大きな課題のひとつは、このような投資機会へのアクセスです。例えば、プライベート・エクイティ・ファンドに投資したくても、そもそもそのような機会に全くアクセスすることができないからです。

投資でお金を稼ぐのは簡単なことではありません。今は誰もが簡単に株式投資ができるような環境ですが、だからといって誰もが儲かっているわけではありません。ですので、下位90%の人がヘッジファンドやプライベート・エクイティの投資機会にアクセスできたとしても、全員が多く儲かるという保証にはなりません。それどころか、より難易度が高いと言われる資産クラスなので多くの人が損をすることになってもおかしくないです。

それにも関わらず、少なくとも平等な機会をより多くの人々に提供するべきです。もちろん必要なセーフティネット、教育、ガイダンスが伴わないといけません。適切な投資手段も必要です。そしてそれらが出来上がるのは時間の問題だと思います。

References:

・Online Appendix of Wealth Inequality in the United States since 1913: Evidence from Capitalized Income Tax Data By Emmanuel Saez and Gabriel Zucman - https://gabriel-zucman.eu/files/SaezZucman2016QJEAppendix.pdf

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