#159 VCが資金調達をする際に知っておくべきこと

彼らは同じくらい優れたGPと競争している
46(Youngrok) 2024.01.22
誰でも

出資先のファンドの一つであるKyber Knightからスターウォーズのジェダイたちが使うライトセーバーのプレゼントをいただきました!スターウォーズの中級ファンとして、これで本物に近いライトセーバーに触れるのは2回目です。LPにプレゼントを送ること自体はそれほど新しいことではありませんが、このように自分たちのファンドの特色を生かした意味のあるプレゼントを送ったのはより意味深いですね(Kyberはライトセーバーの材料です)。今後オフィスにちゃんと飾っておいて、来客の方々に自慢したいと思います!

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私はスタートアップ投資家としてVC業界のキャリアを積み始めました。スタートアップ投資とファンド投資の両方を経験してきているのです。ですので、両者の違いをよく理解しているつもりですが、その一つは、最初のピッチングでどれだけの案件が拒否されるのかということかと思います。

私の経験からすると、スタートアップの場合、ほぼ70%程度の案件が最初の15-30分程度のピッチングでパスするかどうかが決まります。理由は様々なことがあります。ビジネスモデルがあまり良くないかもしれませんし、創業者が十分に魅力的な経歴を持っていないかもしれません。それとも単にそのスタートアップの業界が私が興味を持っているところではないかもしれません。残りの30%程度だけが本当に魅力的な投資機会になるのか、デューデリジェンスを行っていました。

一方、VCファンドのGPのファンドレイジングの場合、最初の15-30分でだいたい30%程度だけがすぐにパスするか否かが決まります。通常、GPやファンドの投資戦略が我々と何かしらの理由で合わない場合です。例えば、我々はヨーロッパのファンドには投資をしません。ただ、残りの70%のファンドの場合、もう少しデューデリジェンスをする必要があり、そうじゃないと私たちにとって魅力的な投資機会であるかどうかを知ることが難しいです。

このように70%の案件に関してすぐに答えが出ない理由は、VCファンドを設立したGPのほとんどは実際にすごい人たちだからです。ファンドというのは、過去に何か意味のある成果を上げた人たちだけが始めることになります。彼らはファンドを始める前に、投資家としてだけでなく、ある分野のプロフェッショナルとして十分な実績を積む必要があります。

言い換えれば、ほとんどのGPは非常に自信に満ちています。彼らは自分たちが何を達成したかをよく知っていて、それを非常に誇りに思っています。今、彼らはファンドを立ち上げることができると考えているからこそファンドレイジングに参入しています。

通常、このようなGPたちは、彼らを信頼する人々がいます。前職の同僚、上司、創業者、他のGPなどです。そのため、最初の数億円くらいまでの資金調達は比較的早く行われます。これで彼らはさらに自信が持てるようになります。

しかし、彼らがあまり知らないことが一つあります。それは、「自分と同じようなすごい人たちと競争している」という事実です。彼らは70%のプールの中で競争しているのです。彼らは皆興味深い経歴を持ち、自信に満ちています。また、比較的短期間で周りからある程度の資金も調達しました。 しかし、彼らはこれから同じ境遇にある何百人もの他のGPと競争しなければなりません。周りの人々と違って、彼らを全く知らない人たちから信頼を獲得しないといけません。もちろん、非常に大変です。これは、多くのファンドがファースト・クロージングまでは比較的早い時間内に成し遂げるが、次のクロージングまでは多くの時間がかかる理由です。

まるでハーバード大学のようなエリート大学に行くようなものです。一生を優秀な学生として生きてきた高校の秀才も、エリート学校では普通の学生として感じられます。周りがそのような秀才だらけだからです。ファンドを始めるのも同じです。GPの場合、自分が誰と競争しているのかが見えないことも多く、さらに難しいです。

ですから、謙虚さを保つことはとても重要です。自信に満ちてはいけないということでは決してありません。彼らは十分に誇りを持つべきです。しかし、同時に謙虚な姿勢で、自分たちの競合を理解し、常に自分たちの競争優位性を強化するために努力しなければなりません。私はしばしばGPに「あなたの競合は誰ですか」と質問します。多くのGPは、自分たちは競合がいないと答えます。しかし、ほとんどの場合、それは間違った答えです。私がそのような質問をするときは、似たようなファンドを1つ2つくらいは知っているときが多いです。

自己認識(Self-awareness)を持つことは、優れたリーダーシップを構築するための第一歩です。 何世代にもわたっても影響力を持つファンドを立ち上げたいGPにとっても、これは重要な第一歩となるでしょう。

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