#152 次のファンドへの投資(re-up)におけるアプローチ
娘が今15ヶ月歳ですが、言葉が話せだけであって、本当に多くのことを見て吸収しているんだなと思います。この前、私が仕事をしていたときにちょっとデスクから立ち上がると、横で走り回っていた娘が私が座っていた椅子に登ろうとしました。そこで一度座らせてみると、私が仕事をしている姿をそのまま真似をし始めました。キーボードを叩いたり、マウスをあちこちいじったり。何を考えているのかはわかりませんが、とにかく一生懸命仕事をしているように見えました。ファンド投資の早期教育のタイミングを少し早めないといけない!とも思ったのですが、それよりは、とりあえず何も覚えないだろうけど、もっと多くのことを見せて、経験させてあげたいと思いました。結論、娘は可愛いです!
スタートアップへの直接投資とベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資(ファンド・オブ・ファンズ)の大きな違いの一つは、「次の」ラウンドやファンド投資に関するアプローチです。
スタートアップが次の投資ラウンドの資金調達をすると、その前に投資したVCは、投資先のスタートアップの価値上昇の恩恵を受けることができます(自分たちの投資分の価値が上がるので)。一方、ファンド投資の場合、次のファンドのローンチは前のファンドとは独立した関係です。次のファンドが大きな成功を収めても、前のファンドのLPに利益が還元されるわけではありません。 これは前のファンドの良い投資実績も重要ですが、必ずしも過去の成功が次のファンドの成功を保証するものでもないということを意味します。
前回の記事"#140 持続的に高い投資リターンを出すファンド"でも強調したように、VCにとって、一度の高いリターンを達成するよりも、多少低くても同じような十分良いレベルの投資実績を繰り返し達成する方が難しいです。 したがって、VCは潜在的なLPから資本を調達する際に、過去のトラックレコードの成功だけを強調するのではなく、なぜ過去の投資実績が次のファンドでも再現できるのかという「再現性」を明確に説明することが重要です。それなりの魅力的な投資実績を保有しているGPはかなり多いので、他の人と比べて非現実的なレベルで投資実績が良くない限り、投資実績だけで大きな競争優位性を作ることは難しいです。むしろ、基本的な要件と考えるべきでしょう。
逆に、LPの観点からは、リアップ(既存LPが次のファンドに投資すること)は独立して評価するべきです。リアップの場合、最初の投資時点に比べ、はるかに少ないデューデリジェンスを経て、次のファンドに再投資することが多いです。 しかし、上記のように、各ファンドは独立した関係にあります。 したがって、過去のファンドの成功だけでなく、次のファンドでそれを繰り返すことができる再現能力を確認せずに投資をしてはいけません。リアップであれ新規投資であれ、独立したデューデリジェンスに基づいて、投資判断を行う必要があるのです。
上記のことは考え方を少し変えただけのものではありますが、これを実現することはかなり難易度が高いです。VCにとっては資金調達のストーリに再現能力をどうやって盛り込むのか、LPにとってはリアップの投資プロセスをどう構築させるか、を考えるのは決して簡単ではないです。しかし、これをうまく実行することができれば、長期的に大きな競合優位性が作れるのではないかと思います。
References:
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