#120 これからAIがさらに盛りあがらなざるを得ない理由

一人一人の生産性を上げていかないといけない
46(Youngrok) 2023.04.23
誰でも

先週は出資先ファンドの年次総会があったので初めてサンディエゴに行ってきました。色々と良い話はたくさん聞いていたのですが、噂通りとても良い街でした。サンフランシスコに比べると全然暖かいですし、LAのような雰囲気だけどLAのようにごちゃごちゃしてなかったのです。当然不動産もサンフランシスコやLAに比べるとまだ安く、本当に住みやすそうだなと思いました。唯一の弱点は日本への直行便があまりないというのとレストラン(少なくとも今回行ったところは)がそこまで美味しいというわけではなかったというところですかね。とにかくもう少し来てみたいです!

サンディエゴのラホヤ(La Jolla)地域のダウンタウン

サンディエゴのラホヤ(La Jolla)地域のダウンタウン

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AIは間違いなくベンチャー界隈のホットトピックの一つです。しかし、実はAIは今回のブームのとっくに前から進化を遂げてきてました。AmazonのようなEコマースサイトの推薦アルゴリズムから、インスタやフェースブックの自動顔タグ付け、プログラマーのコード作成を支援するGithubのコパイロットプログラムまで、幅広い領域や機能でAI技術は開発され、徐々に我々の日常生活に溶け込んできました。

シンギュラリティを経てマトリックスのような世界が訪れるまでは(もしそのような世界が来たら!)、AI技術の発展は人間の生産性向上につながっていきます。Amazonの推薦アルゴリズムは、私たちが欲しい商品(必要だと知らなかった商品まで)を探す時間を短縮します。 GitHubコパイロットも、プログラマーがコードを書く時間を短縮します。ここで、現在のAI技術に共通分母は「時間の節約」です。つまり、生産性の向上です。人間がより少ない時間でより多くのことができるようにするのです。ChatGPTのような最近のホットな話題はすべて、生産性の向上を加速させます。

これは、多くの国の経済にとって重要なことです。下のアジアの人口ピラミッドを見てください。このチャートはインド、中国、日本、韓国を含むすべてのアジアの国々が含まれています。インドのように今後さらに人口が増加すると予想される国を含めても、今後20年間で、若い世代の人口は以下のように減少していきます。

次のチャートは米国の人口ピラミッドです。アメリカは今後も人口が増え続けると予測されている数少ない(おそらく唯一の)先進国です。しかし、上と同様、時間の経過とともに若い世代は減少していきます。

つまり、「マンパワー」の意味が、これまでほど意味を持たなくなります。総人口が増えたとしても、これまで「マンパワー」を提供してくれていた若い人たちは減っていくわけです。

つまり、「量」に頼ることが難しくなっていきます。一人ひとりが同じ時間でより多くのアウトプットを生み出さない限り、各国のGDPは減少せざるを得ません。今のGDPを維持、さらには成長させていくためには個々の生産性向上は必ず必要で、より少ない人数でより多くのアウトプットを作ることを可能にするAI技術の役割は極めて重要です。

AIとともに、ロボティクス、ワークフロー管理、自動化など、人間の生産性を向上させる技術はたくさんあります。人口動態が変化する中で、それらの技術の向上を進めることは必須になります。マンパワーの「パワー」が弱くなっていくこの時点で、これら技術の開発に失敗する国は競争優位性をなくしていくでしょう。

References:
・Presentation by Mark Suster at Upfront Summit 2023
・PopulationPyramid.net

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