#93 NFTアートの人気 ≠ Web3の可能性

NFTアートはNFTのユースケースの一つにすぎず、Web3はこれからも伸びていく
46(Youngrok) 2022.10.17
誰でも

先週の金曜日には大学院時代の同期の結婚式があってワインで有名なNapaに行ってきました。 私の住んでいるサンフランシスコ市内では渋滞がなければ1時間半くらいで行けるのですが、いつも渋滞するので今回も2~2.5時間くらいかかりました。 ミシュランレストランとしても有名なAuberge Du Soleilというところで式がありましたが、まず新郎新婦がとても幸せそうで何よりでしたし、食事も本当においしかったです。久しぶりに昔の友人たちに少しでも会えたのもとても良かったです。あとは、実は私も3年前に隣町のSonomaで結婚式をしたので感慨深かったですね!

***

NFTはここ数年の間、テック業界で最も話題になったバズワードの1つでした。ブロックチェーン技術及び暗号資産の最初の実世界での使用例として、暗号資産に詳しい人たちのみならず、一般の人たちにも幅広く馴染みのある言葉になりました。

しかし、今年に入り、NFTの人気は大きく低下しています。すべての主要なNFTマーケットプレイスにおけるNFTの取引量は、過去12カ月で90%減少しました。人々はNFTという単語を検索すらあまりしなくなってしまったのです。

主要なNFTマーケットプレイスにおける過去12ヶ月のNFTの取引量(出典:Tomasz Tunguz)

主要なNFTマーケットプレイスにおける過去12ヶ月のNFTの取引量(出典:Tomasz Tunguz)

過去3年間の NFTのGoogle Trend

過去3年間の NFTのGoogle Trend

このことから、多くの人々がNFTは終わったと言います。増しては、暗号資産やブロックチェーンはやっぱりだめだと思う人も出てきています。ただし、私はそれは誤解だと思います。

これまでと同じ、デジタル上でしか存在しないデジタルアートとしてのNFT(例えば、Bored Ape Yacht Club)が再び栄えることはないかもしれません。しかし、NFTそのものは、ゲームやメタバース、音楽、アイデンティティーなど、他のアプリケーションにとって重要な技術であり、これからのイノベーションにおいても重要な役割を果たし続けます。

先ほど、NFTの取引量は過去12ヶ月で90%減少していると言いましたが、実際にイーサリアムネットワーク上でスマートコントラクトを開発する開発者の活動は、そこまで減少していないのです。

イーサリアムにデプロイされたスマートコントラクトの数(出典:Tomasz TunguzのDuneでのQueryを使って筆者が作成)

イーサリアムにデプロイされたスマートコントラクトの数(出典:Tomasz TunguzのDuneでのQueryを使って筆者が作成)

NFTかもしれないし、DeFiかもしれないですが、いずれにせよ、これは開発者がまだweb3エコシステムで何かを活発に開発していることを意味します。実際、アクティブなweb3の開発者の数は増え続けてきています。さらに興味深いのは、一度Web3の世界に足を踏み込んだ開発者たちは、暗号資産マーケットが落ち込んだ2018年から2020年の間にもその世界から去ることなく留まり続けたということです。下のチャートをご覧ください。

月間アクティブなWeb3開発者の推移(出典:Electric Capital)

月間アクティブなWeb3開発者の推移(出典:Electric Capital)

ですので、NFT自体を以前ほど聞かなくなったからといって、Web3自体のイノベーションが鈍化した、あるいは止まったと結論づけるのは時期尚早だと思うのです。イノベーションはまだ起きているのです。

上記で自分で話した内容をあえて反論すると、出典は違いますが、週間アクティブ開発者数となると、プラトーのように見えます。実際、この数カ月で20%も減少しています。つまり、どのようなデータをどのように分析するかによって、話は違ってくる可能性はあります。

週間アクティブなWeb3開発者の推移(出典:Tomasz Tunguz)

週間アクティブなWeb3開発者の推移(出典:Tomasz Tunguz)

私個人的にはブロックチェーン技術によってもたらされるイノベーションの大ファンなので、偏った見方をしているかもしれません。しかし、今こそブロックチェーン技術による新しいパラダイムの始まりであると信じたいと思いますし、暗号資産に特化したVCファンドにお金がどんどん集まってきているのは、私のような考えを持っているのが私だけではないことを裏付けしていると思います。

ちょうど約10年前、アメリカでは30%の人しかスマートフォンを持っていませんでした。今、アメリカでは20~30%の人が暗号資産に触ったことがあると言われています。今後10年で、ブロックチェーンや暗号資産がどのように私たち社会に浸透していくのか、とても楽しみです。

References:
・The State of Web3 in 2022 through Data - https://tomtunguz.com/state-of-crypto-2022-dunecon/
・Electric Capital Developer Report (2021) - https://medium.com/electric-capital/electric-capital-developer-report-2021-f37874efea6d

無料で「46のテクトレ」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら