#163 AIスタートアップが輝くことができる業界

古い産業でのオポチュニティ
46(Youngrok) 2024.02.19
誰でも

先週は妻の誕生日があったので、金曜日に休みを取って近くに2泊3日の旅行に行ってきました。18ヶ月目の娘がいるのでどこかに観光に行くのは難しく、みんなで簡単なハイキングでもできる山の中にあるエアビーを予約して行ってきました。山の上だったので景色も良く、空気も澄んでいてとても良かったのですが、結局3日間ずっと雨が降って曇っていたので、結局殆ど室内にいました。それでもエアビーに露天風呂に近しいホットタブもあったし、中も広くて快適でした。気持ち良い空気もたくさん吸って、美味しいステーキーも焼いて食べて(ラムは殆ど焦げてしまったものの)楽しく気分転換してきましたー!

朝7時、雲が下に見えるエアビーの窓から

朝7時、雲が下に見えるエアビーの窓から

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Jasper AIは生成AIの初期ブームをリードしたスタートアップです。AIを通じて、より簡単に、より速く、より良い文章を書くことができるということにテック業界が驚きました。当時は誰もがこの会社について話していました。私もこのブログを書くのに役立ったので、有料サービスを使い始めました(このブログは英語で先に書いて、日本語と韓国語に翻訳します)。こうして順調に成長していたJasper AIは2022年10月、ベッセマーやコートゥなどの有名なベンチャーキャピタルから15億ドルの価値で1億2,500万ドル、約180億円のシリーズAを調達しました。 一気にユニコーンになったのです。

しかし、今はJasper AIの人気が以前ほど高くないようです。私も今はこのサービスを殆ど利用していません。これは、ほとんどの機能が今は他のところでも提供されるためです。例えば、私が英語の文法チェックに使用するサービスであるGrammerlyも似たような機能を提供しています。また、私が使うメールサービスであるSuperhumanも似たようなAIサービスを提供し始めました。1年前の2023年初めにJapser AIの注目度が最高潮に達した後、その魅力は低下傾向にあります。私も有料サービスのサブスクを解約しました。

Jasper AIのGoogleトレンド検索結果

Jasper AIのGoogleトレンド検索結果

Jasper AIが提供するサービスの問題は、十分なエンジニアリングリソースを持つ隣接するテック企業も、彼らのサービスを比較的簡単にコピーできる点だと思います。 言うまでもなく、生成AIを利用したサービスの開発スピードは驚くほど速いです。LinkedInによると、Grammerlyの従業員数は約1,400人、Superhumanの従業員数は約150人です。また、PitchBookによると、それぞれ約4億ドル(約600億円)、1億3,800万ドル(約200億円)の資金を調達しています。つまり、近い領域にあるテック企業にとっては、このようなサービスを提供できるキャパシティがあるのです。もちろん、この2社以外にも、GoogleやMicrosoftのような巨大企業を含め、似たようなサービスを提供している、あるいは提供できるテック企業はたくさんあります。

しかし、だからといって、生成AIアプリケーションを開発するスタートアップの未来が明るくないというわけではありません。SuperhumanやGrammerlyのような十分なエンジニアリングリソースを持つテック業界ではなく、昔ながらの古い産業には魅力的な可能性を秘めているかもしれません。例えば製造業やサプライチェーンがそのような業界です。大きな業界ですが、そこにはテック業界ほどテック人材が十分ではありません。

私はFund of Fundsという職業柄、毎年100~200の米国のVCに会います。彼らのほとんどはとてもスマートで、投資家、創業者、またはオペレーターとして素晴らしい実績を積んでいる人たちです。そのような多くのVCが最近注目している分野の一つが、古い産業にAIを応用した分野です。例えば、化学産業向けにクラウドとAIサービスを提供するスタートアップの一つであるAlchemy Cloudというところがあります。最近会ったVCが投資した会社で、私が直接その会社を知っているわけではないのでどこまで良いスタートアップかはわかりませんが、少なくとも古い産業でチャンスを掴もうとする初期段階のスタートアップの良い例です。

引き続き激しい競争や高い市場参入障壁は存在します。また、古い産業は技術に精通していない場合も多いので、実質的な普及にはまだ多くの困難があるでしょう。 しかし、今、少なくともその分野でのチャンスを掴もうとするスタートアップが出てきています。そして、VCを通じて資金も流入し始めています。この分野でどのようなスタートアップがAI競争で生き残るかを見るのはこれからの楽しみの一つです。

References:

・Startups vs Incumbents in the AI Era - https://www.nfx.com/post/startups-vs-incumbents-ai

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