#246 変化していくファンド・オブ・ファンズの役割
先週末、私の住んでいるサンフランシスコのミッション地区で「Lowrider Parade(ローライダー)」が開催されました。ローライダーとは、写真のように車高を極端に低くカスタマイズした車のことを指します。実は私も今回初めて知ったのですが、この文化はメキシコ系アメリカ人(チカーノ)に由来するそうです。
ミッション地区は「メキシコ人の街」とも呼ばれる場所なので、確かに納得感がありました。実際に目にすると本当にかっこよくて、ちょっと乗ってみたいなと思ったくらいです。これはもう、ミッションに住みすぎたせいかもしれませんw。

今月初めに掲載した 「#243 ベンチャーキャピタルの「アクセスゲーム」は終わりつつある」 という記事の中で、私はVCがもはや「アクセスゲーム」ではなくなってきていると話しました。トップティアファンドへのアクセスは以前より開かれ、Allocateのようなテックプラットフォームは、これまでまったく機会がなかった投資家層にもそのようなファンドへの投資機会を提供しています。
これは、私が運営しているファンド・オブ・ファンズ(FoFs)の役割も再編されざるを得ないことを意味します。米国におけるFoFsの伝統的な役割の一つは、まさにトップティアファンドへの「アクセスの提供」でした。個別にはアクセスが難しいファンドと関係を築いてきたからこそ、そうした投資家はFoFsを通じてのみそのファンドにエクスポージャーを持つことができたのです。
しかし、状況はすでに変わり始めています。先日、ある大手機関投資家のCIOと話をした際、彼は「大手FoFsにすでに投資しているが、最近では多くのトップティアファンドが直接会いに来るようになった」と語っていました。つまり、FoFsを経由せずとも直接投資の機会が増えているということです。かつてトップティアファンドへの「アクセス」はFoFsに投資する動機の一つでしたが、その独占的な地位は次第に薄れつつあるのです。
この10年間でVCの形態は大きく変化しました。しかしFoFsがその変化に十分に適応してきたかどうかは、いま改めて問い直すべきだと感じます。私たちが注目している新興VCやマイクロVCたちと、セコイアやアンドリーセン・ホロウィッツのような大規模ファンドで進んでいる二極化は、市場の大きな変化であることは間違いありません。最近のアンドリーセン・ホロウィッツのポッドキャストでも、ベン・ホロウィッツ氏が「アンドリーセン・ホロウィッツのような大規模ファンド、そして専門性を持つアーリーステージのファンドは、今後5〜10年間確固たるポジションを維持するだろう」と述べていました。どっちも当てはまらないファンドに対しては「Questionable」、不確かとも話しています。
したがって、FoFsの新たな役割の一つは、大規模トップティアファンドへの単純なアクセスではなく、特定分野で競争力を持つアーリーステージファンドを発掘・投資することになると考えています。もっとも、これは数ある変化の一部にすぎません。AIやステーブルコインといった技術革新やVC市場環境の大きな変化を踏まえれば、まさに今こそFoFsが新しいモデルを構築すべき転換点です。その変化を先導できるFoFsこそが、次のサイクルの主役になると私は考えています。
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