#146 セカンダリー取引を通じて分かるVC市場の現状

高いディスカウント率は続くものの、必ずしも悲観的ではない
46(Youngrok) 2023.10.23
誰でも

2時間前に無事に東京につきました。今日の夕方に予定されているこちらのイベントにたくさんの方々にご興味頂きまして改めましてありがとうございます。今回はスペースの関係上、非常に残念ながら申請して頂いた全員の方々には起こし頂けなくなってしまい大変申し訳ないですが、今回の学びを活かしてより多くの方々にご参加いただけるようなイベントを再度開催いたします。

また、今週木曜日には韓国で影響力のあるVC・スタートアップのブログを運営されている「ナンマン投資パートナーズ」という方々と共同で、より大きな規模でミートアップを開く予定です。韓国政府系期間であるKVIC(Korea Venture Investment Corp.)のベンチャー金融研究所の所長を務められるイ・ジンソク所長とのパネルも予定していて、現地のVC市場関係の方々とお話しできることを楽しみにしています!

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フォージ・グローバル(Forge Global)は、最大のセカンダリーマーケット投資プラットフォームの1つです。ここでは、主にSpaceX、Circle、Neuralinkなどの大型の非公開スタートアップの株式を売買することができます。したがって、Forgeでの投資活動を理解することは、現在の市場心理を含む様々な洞察を得ることができます。

ちょうど先週、フォージ・グローバルが最新の市場レポートを発表しましたが、いくつか面白いデータがありました。まず、下のチャートで示すように、セカンダリー市場のディスカウント率は依然として高い水準であることです。これはスタートアップの前回の投資ラウンドで設定されたバリュエーションより63%も安い価格でスタートアップの株式がフォージ・グローバルのセカンダリーマーケットで取引されていたということを意味します。

これだけを見ると、スタートアップ市場が回復するにはまだまだ時間がかかりそうだと思うかもしれません。そして、実際にそうなる可能性もあります。

しかし、次のチャートを見てみましょう。これは先買権(Right of First Refusal or ROFR)の比率を示しています。先買権とは、既存のベンチャー投資家や会社自体(つまり、インサイダー)に、他の潜在的な購入者に株式を売却する前に先に購入する機会を与える条項です。例えば、スタートアップのある従業員が自分の株式を第三者に売りたいと仮定してみましょう。このような状況で既存の投資家であるVCが先買権を行使すれば、その従業員が売る株式を優先して代わりに購入することができます。

上の表から分かるように、過去2四半期の間、優先買付権の行使率は比較的高い水準を維持しています。これは、インサイダーたちがまだ自分たちの会社に対する強い確信を持っており、より多くの株式を購入することを望んでいたことを意味します(しかも安く買えるので)。もし会社が破綻すると思っていたら、彼らは優先買付権を行使せず、むしろ自分たちも売ろうとしたでしょう。

次の最後のチャートは買い-売りスプレッドを示しています。これは、買い手が買いたい価格と売り手が売りたい価格との間の差分を示しています。このスプレッドも高い水準を維持していますが、これは安く買おうとする人がいる一方、買い手としてはその値段より高い値段での売却を希望していることを意味します。ディスカウント率があまりにも低いので、みんな安く売っていると思いがちですが、必ずしもそうではなさそうです。株主はそんな安い値段だったら持ち続けると思っているのです。この場合も、もし潰れると思ったら安くでも売ったはずです。

実際に私も現場で仕事をしながら、セカンダリー投資に対する関心が高まっていることを実感しています。有名なVCの中には、セカンダリーマーケットを通じて対象企業の株式を取得するという話をしているところもいくつかありました。

しかし、セカンダリー市場が活性されているとはいえ、みんながみんなスタートアップの株式を早く処分したいわけではありません。 去年の記事「#80 今は優良スタートアップのセール期間中」でもお伝えしたように、スタートアップによっては、バリュエーションがディスカウントされたからといって、そのスタートアップ自体が良くないというわけではありません。すなわち低評価されているものの、まだ大きなポテンシャルを持つ会社もあるのです。 私はこれを最後の2つのチャートがよく表していると思います。

逆に言えば、高いポテンシャルを持つスタートアップを安い価格で投資することができれば、これは素晴らしいセカンダリー投資の機会になります。 セカンダリー市場が今活性化されているため、このような魅力的な機会も出てくるのではないかと予想しています。

References:

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