#248 ベンチャー投資における“最初の信頼”がつくる信頼

最初に自分を信じてくれた人のことは、誰しも強く心に残るもの
46(Youngrok) 2025.10.14
誰でも

先週末はカナダの感謝祭(Thanksgiving)でした。トロントに住む姉家族と久しぶりに会い、みんなで食事をしながら、 大きな七面鳥料理を囲んで温かい時間を過ごしました。

韓国の私たち家族、日本人の妻、カナダ人の義兄とその家族、 そしてアメリカで生まれた子どもたちまで。4つの国の家族が集まった賑やかな時間でした。

多文化の家族として過ごすことは時々大変なこともありますが、お互いの文化を学びながら一緒に笑い合えることは、 本当にかけがえのない幸せだと感じます。

今回食べた七面鳥料理

今回食べた七面鳥料理

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私たちは何か新しいことを始めるとき、自分を信じてくれる人の存在に大きな力をもらいます。

特に、多くの人が「それは無理じゃないか」とか「よく分からない」と言って慎重な姿勢を見せる中で、最初に自分を信じてくれた人のことは、誰しも強く心に残るものです。

その信頼への感謝は、長く記憶に残ります。

これは、ベンチャー投資の世界でも同じです。最近では、スタートアップが設立される前の段階から、つまりまだアイデアレベルの時点で創業者と対話を始めるプレシード(Pre-seed)ファンドが増えています。

アイデアが未熟だったり、まだ形になっていない段階でも、創業者とビジョンをすり合わせ、方向性が一致すれば資金提供まで進むのです。

こうしたプロセスの中で、創業者とVCの間には特別な関係が生まれます。創業者にとって、最初に自分を信じて、夢を現実にするための資金を託してくれた人への感謝は、何物にも代えがたいものです。

この構図は、VCとLP(出資者)の関係にもよく似ています。1号ファンドのファースト・クロージングで出資を決めるLPは、GP(運用者)と強い信頼関係を築きやすくなります。数多くの断りを乗り越えて実現するファースト・クロージングは、多くのGPにとって象徴的で特別な瞬間だからです。

一方で、「うちはファースト・クロージングには出資しない方針です」と言うLPも少なくありません。もちろんポリシー上の理由がある場合もありますが、中には他のLPの動きを見てから判断したいというケースもあります。

これはスタートアップ投資でも同じです。「リード投資家が決まったら検討します」という言葉はよく耳にしますが、こうした姿勢は、せっかくソーシングした貴重なチャンスを十分に活用できなくなることにつながります。

ベンチャー投資は本質的にハイリスク・ハイリターンの世界です。誰かを信じ、自らの判断に確信(Conviction)を持って一歩踏み出せる人だけが、より深い関係と、より意味のある成果を生み出す可能性を高めるのです。

References:

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