#207 米国資金調達の75%を握ったトップ30のVC

2024年は二極化が明らかになった年
46(Youngrok) 2024.12.30
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私はここ数年、クリスマスや年末年始は主に日本と韓国の家族と一緒に過ごしていましたが、今年は第二子が生まれて移動が難しいこともあり、サンフランシスコに留まることにしました。その代わり、友人家族と一緒に車で3〜4時間の距離にあるタホ湖(Lake Tahoe)でクリスマスを過ごしてきました。タホ湖は、夏は避暑地として、冬はスキーで有名な場所です。上の子が今2.5歳ですが、スキーは3歳からしかできないため、今回はスキーをすることはできませんでしたが、雪をたっぷり満喫しながらチュービングを楽しんだり、裏山でそり遊びもして、忙しいながらも楽しい時間を過ごしました。今年のクリスマスをきっかけに、毎年冬はタホ湖で過ごすのも悪くないかもしれません!

今回泊まったAirbnbの裏山からの風景

今回泊まったAirbnbの裏山からの風景

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先日PitchBookが発表したレポートによると、2024年の米国VCファンド全体で調達された資金の半分がたった9つのVCファンドによって調達されたそうです。さらに上位30のVCファンドが全米のベンチャーキャピタル資金全体の75%を占めています。一方で、米国の大手ファンド・オブ・ファンズであるステップストーンによると、今年1号ファンドを成功的にクローズした新規ファンドの数は5年ぶりの最低値である51ファンドニ落ち込みました。

これらのデータだけ見ると、VC市場がトップブランドの大型ファンドによって独占されているように思われるかもしれません。しかし、現実はむしろ二極化しています。一方では、アンドリセン・ホロウィッツやセコイアのような大型ファンドが市場を支配し、もう一方では、新世代の注目すべき新興VCが市場で存在感を表しています。

例えば、引き続き業界のベテランやイノベーターが自分たちのファンドを立ち上げ続けています。今年最も注目され、来年IPOを予定しているDatabricksの共同創業者とNEAの長年のパートナーは、Laude Venturesと呼ばれるファンドを立ち上げ、アンドリセン・ホロウィッツのAmerican Dynamismファンドの創設メンバーも自身のファンドを立ち上げています。 他にも多くの良い例があり、このような動きは、質の高い新興VCの活躍をうまく表しています。

このような傾向は重要なインサイトを示唆しています。 それは、エマージングVCの数ではなく、その質が重要であるということです。 知名度が低く、説得力のないエマージングVCはどんどん淘汰されつつありますが、実績、影響力のあるネットワーク、しっかりと自分たちの視点を持つ信頼できるエマージングVCは依然として市場に出てきており、投資家の関心と資本を引き付け続けています。

実際、上記のPitchbookのデータからもこのようなトレンドを改めて確認することができます。 よく見ると、むしろ新興VC(緑色)が古い小型・中型ファンド(赤色)よりも多くの資金調達をしたことが分かります。 これは、投資家の好みが二分化されていることを示しており、大型ブランドファンドの名声や安全性、もしくは目立つ革新的な新興VCに賭けをしていることを表しています。そして、どちらでもない中間層は、ポジショニングに多くの困難を抱えているのです。 この勝者が大部分を取る市場では、平凡さはもはや選択肢ではありません。

ベンチャーキャピタル市場は、統合されるのではなく、二極化しています。 この新しい現実の中で成功するには、単にファンドを組成する以上のものが必要です。 ベテランでブランド力のある大型ファンドであろうと、新進気鋭のスターであろうと、ポジショニングをうまく行う必要があります。

References:

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