#71 ベンチャーファンド投資の最も良いタイミングは？

投資の基本は安く買って高い時に売ること、そして今がそのタイミング

４６（Youngrok） 2022.05.16

誰でも

先週はBridge Conferenceという女性のVCファンドマネージャ（GP）とその投資家（LP）のためのカンファレンスに行ってきました。投資先GPのうち二人が登壇をしたり、Zoomでしか会ったことない昔ながらの知人に初めて直接会ったり、また、新しい方々とも知り合ったりするなど、とても有意義なイベントでした。このように最近アメリカでは色々なインパーソンのイベントがたくさん開かれていて、私も違うイベントへの参加のため来週ボストンにまた行くのですが、投資環境は厳しさを増しているものの、人々との交流する機会だけはまだまだホットです！

2022年Bridge Conference中

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米国テック株を中心に株式市場が急落してきている中、レイト・ステージのベンチャーキャピタル投資も急落していて、ソフトバンクやタイガー・グローバルなど、特にレイトステージのスタートアップに積極的に投資をしていた投資家たちは大きな打撃を受けています。ソフトバンク・ビジョン・ファンドはハイテク投資で３兆５千億円（オリンパスの時価総額相当）の損失出しましたし、フィナンシャル・タイムズはタイガー・グローバルの損失は170億ドル程度（約2兆2千億円、イオンの時価総額相当）になると報じました。

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今までは主に株式市場やレイト・ステージのアクティビティーのみが影響を受けていて、アーリー・ステージ投資案件は引き続き健在さを見せてきておりました。しかし、VCファンドもどんどんと資金調達が難しい環境になりつつありますし、アーリー・ステージの案件でも直近の低迷の影響が出てきているところもで始まっています。

従って、色々な人が2000年台のテックバブルや2008年の金融危機のようなリセッション、景気後退が訪れると話します。しかし本当にそうなのでしょうか。

下の表は、過去のベンチャー投資の案件数と投資総額の推移を示したものです。ご覧のように、金融危機のあった2008年、2009年にかけては、案件数、投資総額とも減少して、ベンチャー投資活動全体が大きな打撃を受けたことが分かります。

ベンチャー投資件数及び金額の前年比当落比率（データソース：PitchBook）

実は、今まで金融危機と似ているような年がもう一年ありました。例えば、上の表でわかる通り、2016年も投資案件数と投資総額とも減少した年です。2016年は何があったのでしょうか。コモディティ価格が下落し、トランプ大統領が当選しました。しかし何よりもFRB（連邦準備制度）が金融危機から継続していたゼロ金利を終わらせ、7年ぶりに金利を引き上げた年です。

今までの政策金利の推移

ところで、このチャートと同じ形が2022年今も起きています。パンデミックによる経済損失を挽回するために再び過去ゼロ金利政策をとっていたのですが、約2年ぶりに金利を引き上げたのです。2016年から何を学べるものがあるかもしれません。

グッドニュースは、2016年、ベンチャー投資活動が少し落ち込んだものの、2017年はすぐに復活したということです。政策金利や10年国債の利回りも継続的に上がったものの、ベンチャー活動は低迷せず投資活動が復活したのです。2008年・2009年の金融危機の時も同じです。2010年からは再びベンチャ投資は勢いを取り戻しています。

当然これだけでこれから投資活動が再び戻ると断言することはできません。しかし、少なくともこれから長い低迷期に入るだろうと断言するのも時期尚早であることも意味します。

私たちは、これまで以上にテクノロジーの影響が大きい時代に生きていて、これからその依存度はより加速していくでしょう。マクロ環境が悪くなるというのはこれから良くなるということを意味します。投資の基本は安い時に買って高い時に売ることです。ですので、今こそが投資を加速するべきタイミングかもしれません。私は個人的にベンチャー投資の民主化のプラットフォームでであるAllocateの創業者であるSamir Kajiが最近つぶやいた言葉に私も100%同意します。