#94 不況に強いVC:シードファンド

景気が悪い時に特に力が発揮できるシードステージ投資
46(Youngrok) 2022.10.24
誰でも

先週は2泊3日という短い日程で日本出張に行ってきました。 今回の出張は忙しすぎて気が気でなかったのですが、とにかく高いドルのおかげで、そうでなくても最近安く感じていた日本の物価がさらに安く感じました。 タクシー移動時に普通1,000円〜2,000円程度($7-$14)を払っていたのですが、サンフランシスコだと、レンタル電気自転車に15分くらい乗るだけで$10くらいかかることを考えると、本当に安く感じました。 入国が自由になったとか、このように物価が安くなったおかげで外国人も結構帰ってきたようで、私が泊まったホテルも聞いてみたらほぼ満室で、そのうちの半分が外国人だと言っていました。円安は心配ですが、外国人で活気が戻ってくるのは日本にとっても良いことではないかと思う出張でした。

久しぶりにランチを食べた六本木ヒルズクラブ

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最近、米国金利がどんどんと上がったり、株式市場の低迷が続くなど、投資環境が決して明るいとは決して言えません。歴史的にみた時、ベンチャーキャピタルは長期投資アセットとして常に他のアセットクラスをアウトパフォームしてきていますが、最近のようなご時世だとなかなかどのような投資判断を下すべきか決めることは難しいです。しかし、すでにベンチャーキャピタルに投資を決めているのであれば、どのような投資をすれば成功可能性が高くなるのでしょうか。

ショートアンサーは「シードステージのファンド」です。下のチャートは、ドットコムバブルと世界金融危機という2つの景気後退期におけるTVPI(ベンチャーキャピタルファンドのパフォーマンスKPIとして最もよく使われるもので、倍率で表される)の中央値を示しています。

シード案件に投資をしていたVCファンド(青色のバー)は、より後のステージに投資していたファンド(赤色及び黄色のバー)をアウトパフォームしていることが分かります。少なくとも過去の景気後退期にはシードファンドに投資することで投資家たちはより高い投資リターン得ていたのです。

景気後退期であろうとなかろうと、シードファンドは常に他のタイプのファンドより良いパフォーマンスを見せるという反論があるかもしれません。それは事実です。一般的にシードファンドが他のファンドより高いリターンを出します。しかし、着目しないといけないのは、シードファンドとその他のファンドのパフォーマンスにおけるギャップです。景気が良かったここ数年はそのギャップが小さかった反面、景気後退期にはそのギャップがより大きくなったのです。また、シードファンドはその分時間がかかるということも念頭に置いとく必要があるでしょう。

もう一つの考慮点は、シード投資はその性質上、ベンチャーキャピタル投資の中でも特にハイリスク・ハイリターンの投資プロフィールを伴うということです。うまくいけば、投資家はアウトパフォームを享受できる可能性があります。しかし、その逆の結果になる可能性もあることを理解しておく必要があります。つまり、大きな損失を被る可能性もあるのです。

私の日々の仕事は、最高のシードステージのベンチャーキャピタルファンドマネージャーを見つけることです。今は実力のあるシードファンドたちが他のファンドをアウトパフォームできるはずなので、自分達の力を発揮するべきタイミングなのです。私が見つけた、これから見つける2022年、2023年に組成されたシードファンドたちが10年後著しい投資実績を披露することを見るのはとても楽しみです。

References:
・Data source: Pitchbook

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