#170 VCに必要な安打数
先週は無事に日本と韓国に行ってきました。それぞれ国で新興VC(イマージングVC)のためのイベントを開催しましたが、少しでも未来のGPの方々に有益な内容であったことを期待しています。引き続きこのような良い機会をもっとたくさん作っていきたいと思っています!
ところで、ほぼ毎日4時間しか寝れないくらい今回は今までで一番忙しい出張の一つだったのですが、そういえば先週このブログを書いてないということに気づきました。3年間一度も忘れずに書いてきたので残念です。 最初のミスに3年かかったので、次のミスは3年後以降にしたいですね!
ニューヨークにあるユニオン・スクエア・ベンチャーズは、アメリカ最高のVCの一つです。2009年には12.5倍の投資収益を上げ、その後のファンドも非常に魅力的な収益率を記録してきました。このようなユニオン・スクエア・ベンチャーを設立し、現在もチームを率いているフレッド・ウィルソン氏は2009年に自分のブログでVCリターンに関して1/3、1/3、1/3というルールについて話しました。
彼はポートフォリオ企業の1/3は失敗し、1/3は僅かのリターン(1.5倍)、残りの1/3が高いリターンを出すと予想していると話しています。私の記事で何回かお伝えしたとおり、VCファンドとして3倍のリターンを出すのは十分良いリターンですが、ファンドが3倍のリターンを出すためには最後の1/3のポートフォリオで7.5倍のリターンを出さなければなりません。つまり、ポートフォリオ企業が30社あると仮定すると、1/3に相当する10社が7.5倍の収益を出さなければならないということになります。
もちろん、7.5倍は決して簡単な目標ではありません。しかし、ファンドが大きなホームランを打たない限り、1/3のポートフォリオがこのレベルの収益を出す必要があるのです。
しかも、この計算はGPの観点からの投資収益であり、LPの観点からリターンを考えると、必要な倍数はさらに高くなります。 なぜなら、LPは管理報酬と成功報酬をGPに支払わなければならないからです。つまり、実際のLPの投資収益率を3倍にするためには、最後の1/3のポートフォリオ企業が7.5倍ではなく、11倍のリターンを出さなければなりません!つまり、10社が11倍のリターンを出さなければならないのです。
1/3、1/3、1/3ルールは、VCファンドとして魅力的なリターンを出すことがいかに難しいかを示すもう一つの例です。100倍のホームランを打つことも、ポートフォリオ企業の1/3が11倍のリターンを出すことも、どちらも簡単なことではありません。
私はファンド・オブ・ファンズ・マネージャーとして、当然多くのファンド・マネージャーにお会いする機会があるのですが、その中には、魅力的なリターンを出すために「まともな」安打をたくさん打つことを目標にしている人もいます。私は、それはほとんどの場合、非常に難しい戦略だと思います。 もちろん、多くの異なる投資戦略があるし、十分に良い安打を継続的に打てる方法もあると思います。しかし、基本的にすべての案件はホームランを目指すべきです。フルスイングが必要なのです。フルスイングで打ってようやくその中から安打も出てくると思います。
References
・What Is A Good Venture Return? https://avc.com/2009/03/what-is-a-good-venture-return/
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