#158 LP出資:最低出資金額は?

It 'depends'
46(Youngrok) 2024.01.15
誰でも

先週、年末年始の日本と韓国での日程を終えてサンフランシスコに無事戻ってきました。久しぶりに感じるサンフランシスコの日差しは、やっぱりカリフォルニアだなと思うほどとても良かったです(ただし、サンフランシスコの気温はLAと違ってかなり低く、いつも秋くらいの天気です)。少なくとも今月は米国内出張も予定されていないので、またサンフランシスコで一年の始まりを頑張りたいと思います!

帰ってきた次の日に食べたサンドイッチ

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アメリカのVCファンドと日本のVCファンドの違いの一つは、出資者(LP)の数です。一言で言えば、米国にはファンド当たりの出資者数がかなり多いです。一つのファンドに100人以上のLPがいる場合は決して珍しいことではありません。

ここで、ファンド規模をLPの数で割ると、いちLPあたり平均的にどの程度の出資をしたか推測することができます。例えば、アンドレセン・ホロウィッツの最新ファンドの一つは$1.4B規模であり、SEC申告内容によると、約150人のLPが参加しているそうです。単純に計算してみると、LPあたりの出資金額の規模は約$9M(約13億円)程度になります。米国のもう一つの著名なVCであるGeneral Catalystの最新ファンドの一つは$1.1B規模であり、約220人以上のLPを保有しているそうです。したがって、平均出資金額は$5M(約7.2億円)の水準です。

米国のVCファンドに投資をしていない多くの方は、実際にはこれよりはるかに多くの金額を出資しなければならないと信じている方が多いです。しかし、上記の計算から分かるように、もちろん一部のLPはそれぞれ$9Mと$5Mよりはるかに大きな金額を出資しているはずですが、一部のLPはそれより少ない金額を出資していることが分かります。

ファンドごとに最低出資金額を設定していることは多く、大体はファンドの紹介資料に記載されています。 しかし、米国のトップティアのファンドを含め、数十のファンドと仕事をしてきた私の経験からすると、契約書で最低出資金額について明記しているケースは見たことがありません。結局、最低出資金額は全てGP次第です。GPの判断で特定のLPの出資金額をある程度自由に決めることができるのです。

架空のシナリオになりますが、あるスタートアップが資金調達をしているとき、セコイアが10,000ドル(約150万円)を投資したいと言ったとします。 当然スタートアップへの投資としては非常に少ない金額です。しかし、セコイアはあの「セコイア」なのです。創業者たちはこのオファーを断るでしょうか?すべての創業者がそうとは限りませんが、ほとんどの創業者はこれに「イエス」と答えるはずです。つまり、投資家か誰かによって答えは変わるのです。

LPにも同じ論理が適用されます。もし、非常に強力で影響力のあるLPがあるVCファンドにごく少額を出資したいと言ったら、そのファンドは拒否するでしょうか?おそらくそうではないでしょう。彼らはかなりの確率でその出資額を受け入れるはずです。

LPは「Limited Partners」の略であることに留意しなければなりません。一言で言えば、LPは「パートナー」なのです。 したがって、単なる投資家としてではなく、真のパートナーとしてファンドに価値を付加できることを示すことが重要です。 結局、LPがGPのために何ができるのかというマインドが重要なのです。セコイアの例のように、著名ブランドをLPリストに持ってくる、ことも非常に重要な付加価値になります。したがって、LPがパートナーとして何の価値をもたらすかを示すことができれば、ファンドの説明資料に記載されている最低出資金額はそれほど重要ではないことも多いのです。 また、逆にGPもあまりそれを重要視すべきではありません。

References:

・Pitchbook

・SEC Form ADV Filings

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