#302 VCファンドのマネフィー2.5%は本当に市場標準なのか?

合理的な運用報酬を設定することが重要
46(Youngrok) 2026.10.26
誰でも

先週はいくつかのイベントに参加し、そのうちの一つではパネリストとして登壇しました。親しい方々とのパネルだったので、リラックスして楽しめました。最近は大物の専門家の話もYouTubeなどで気軽に聞けるため、イベントは学びよりも人との出会いが目的になっている気がします。それでも、参加者の方々に少しでも役立つ話ができていればうれしいです。幸い、何人かの方から「参考になった」と言っていただけたので、少し安心しましたw

***

先週は、10人のLPと一緒にとても楽しいディナーの時間を過ごしました。主催者が事前にいくつかの質問を用意してくれていて、まるでクイズ番組のような雰囲気でした。

その中の一つが、「GPが当たり前だと思っているけれど、実はそうではないことは何か?」という質問でした。

主催者は事前に50人にアンケートを取っていたのですが、最も多かった回答の一つが運用報酬(Management Fee)でした。

多くのGPは、運用報酬2.5%が市場標準だと考えているようです。しかし、本当にそうなのでしょうか。

そもそも、重要なのは運用報酬が2%なのか2.5%なのかということではないと思います。ファンドの存続期間全体を通じて、合計でどれだけの運用報酬を受け取るのかという点のほうが重要です。

投資期間中は2%を受け取り、その後段階的に引き下げるという仕組みが比較的一般的です。この場合、10年間の運用報酬の総額は、出資約束額の20%未満になることが多いでしょう。

一部のGPは、当初2.5%、あるいは3%の運用報酬を設定していても、その後大幅に引き下げることで、10年間の運用報酬総額は約20%に収まると説明します。

それは理解できます。ただ、ここでもう一つ疑問が生まれます。

GPが投資期間終了後も運用報酬を受け取るのは、既存のポートフォリオを引き続き管理する必要があるからです。単に運用報酬の総額を20%程度に抑えるために、投資期間終了後の報酬を大幅に引き下げてしまうと、残りの期間にポートフォリオを適切に管理するための十分なリソースを確保できるのでしょうか。

もちろん、ファンドの規模も重要です。

2,500万ドル規模のファンド(20−30億円規模)であれば、2.5%の運用報酬を設定する理由は十分に理解できます。ファンドの運営にはそれなりのコストがかかりますし、GPもファンドを維持し、生活していかなければならないからです。

一方で、数億ドル規模のファンド(数百億円規模)を運用しながら、チームはわずか3人、それでも運用報酬が2.5%というのであれば、なぜそれだけの費用が必要なのか、かなり説得力のある説明が求められると思います。

もう一つ見落とされがちなのは、運用報酬を引き下げることで実際に投資に回せる資金が増え、LPのネットリターンの向上につながる可能性があるという点です。

例えば、それぞれ5,000万ドル規模のファンドが二つあるとします。ファンドAは10年間で合計20%、ファンドBは合計15%の運用報酬を受け取ります。成功報酬やその他の費用を除くと、ファンドAが実際に投資できる金額は4,000万ドル、ファンドBは4,250万ドルになります。

両ファンドがLPに同じ3.0倍のネットリターンを提供するためには、ファンドAは投資元本に対して3.75倍、ファンドBは3.53倍のグロスリターンを生み出す必要があります。

決して小さな差ではありません。運用報酬が低いほど、同じネットリターンを達成するために超えなければならないハードルも低くなるのです。

もちろん、運用報酬が低ければ必ず良いパフォーマンスを出せるわけではありません。十分なリソースを持つGPのほうが、そうでないGPよりも優れたリターンを生み出す可能性もあります。重要なのは、何が何でも運用報酬を下げることではなく、GPが安定してファンドを運営できる環境を確保しながら、できるだけ多くの資金を投資に回せるよう、適切なバランスを取ることだと思います。GPの給料が低すぎて、他の収入に興味を持ってもらっても困ります。

仮に、運用報酬は2.5%でも非常に優れたリターンを生み出す可能性の高いGPと、運用報酬は2%でも平均的なパフォーマンスにとどまりそうなGPのどちらかを選ぶとすれば、私は迷わず前者を選びます。もちろん、優秀なGPが合理的な運用報酬まで提示してくれるのであれば、それが理想的でしょう。

運用報酬は、単なるGPの給料ではありません。ファンドの経済構造やポートフォリオ構築、そして最終的にはLPの投資リターンに直接影響する重要な要素です。

だからこそ、単に「市場標準だから」という理由で運用報酬を2.5%や2%に設定するのではなく、その報酬体系が本当に合理的なのかを、もっと深く考える必要があると思います。

References:
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