#52 リテール投資家向けのスタートアップ投資サービス

誰もがスタートアップ投資ができる社会に
46(Youngrok) 2022.01.10
誰でも

年末になると、多くのベンチャー投資家が次の年の予測を立てる。その多くの人たちみたいにいくつもの予測立てるつもりはないが、私も2022年は一つだけ予測というものをしてみることにした。それは「リテール投資家がスタートアップのエコシステムに直接または間接的に投資することができる新しいサービスが少なくともいくつか出てくる」である。

これは決して今まで全くなかったことではない。実際、過去数年の間に徐々に起こってきていることだ。最も簡単な例は、クラウドファンディングだろう。Kickstarter、Indiegogo、Gofundmeといったクラウドファンディングのプラットフォームは、リテール投資家とスタートアップを結びつけるのに役立ってきた。これらのプラットフォームを通じて、スタートアップは合わせて約1兆円以上を調達している。

さらに重要なのは、それは進化中であることだ。最近シリーズBラウンドで$150M(約150億円)を調達したクラウドファンディングのプラットフォームのRepublicは、スタートアップだけでなく、不動産や暗号資産などの投資機会をリテール投資家に提供している。今後もリテール投資家に対して様々な投資機会を広げていくことは間違いない。

エンジェル・シンジケートも人気だ。エンジェル・シンジケートは、スタートアップへの投資を他の人と一緒に組んで行いたいリテール投資家のグループである。例えば、2千万円を調達するスタートアップがあり、シンジケートに100人いるとしよう。2千万円は一人のリテール投資家にとってはかなりの大金だが、それをシンジケートにいる100人で割れば、一人20万円だけ投資をすればよくなる。少額でも良いのでスタートアップに投資したいリテール投資家にとってはとても良い手段であるのは間違いない。エンジェル・シンジケートは今や数多く存在していて、AngelListは、シンジケートのバックエンドオフィスをすべて支援する最も広く使われているプラットフォームである。

最も新しいものは、DAO(Decentralized Autonomous Organizatio、自律分散型組織)であろう。米国トップVCの一つであるアンドリーセン・ホロウィッツのマーク・アンドリーセンとクリス・ディクソン対、ツイッターの創業者のジャック・ドーシーとイーロン・マスクのツイッターバトルでも話題を集めたWeb3テクノロジーのキーコンセプトの一つとして、最近大きく注目されている。上の議論で誰が正しいかというのは置いといて、DAOは特定のDAOのトークン保有者はそのDAOの利益から直接恩恵を受けられる形態として、エンジェル・シンジケートのような投資ビークルとしても利用することができる。実際、文字通りSyndicateと呼ばれるスタートアップがあり、投資目的のためにDAOを活用したシンジケートを作る手助けをしてする(DAOの詳細はこちらの記事を参照:DAO(自律分散型組織)、そしてベンチャー投資への影響

ダイヤモンドのような高い希少性がない限り、歴史的に、人々が欲しがるものでなかなか手にすることが難しいものは、最終的には日常生活のものになってきた。黒胡椒は、古代・中世を通じて通貨として使われ、しばしば金と同等かそれ以上に評価されてきた。今は当時の人からすると信じられないほどとても簡単に買える。つい10年前までも株取引で儲けることは、スマホ上指先一つでできるものではなかった。人々が望むものにアクセスするための限界費用は、時間とともに下がる。単なる時間の問題なのだ。

スタートアップへの投資もその一つだろう。ますます多くの人がスタートアップへの投資に興味を持つようになっている。すなわち誰もが欲しがるものになりつつある。今後10年で、スタートアップ投資が株式投資のように誰もが行うものになることは想像に難くない。2022年にも少なくともいくつかの新しい試みが出てくることを予測する。

References:
・Republic's latest funding round - https://republic.com/blog/series-b 
・Comparing The Top Online Fundraising And Crowdfunding Platforms - https://www.crowdfunding.com/

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